人文書を100冊出し、100冊間引く

 人文系の本を100冊ほど出しました。2冊以上出した著者の名前を挙げていくと、木田元青柳いづみこ網野善彦加藤典洋坪内祐三川本三郎、エトセトラ。本日の品出しには値の張るものや店頭で目に付きにくいものを中心にアップしましたが、それ以外にも棚で目にすれば手の伸びそうな本が多数あるはずです。以下今日の特徴を箇条書きで。


 ところで、ここでひとつ問題があって、何かと言うと「このところ出す一方で棚に空きが全然ない」ということ(要するにあまり売れてないということです)。仕方ないので夜は品出しをいったん止めて、人文の棚の間引きを敢行しました。出してから日が経っていて、思い入れも特になく、なおかつ押しの弱そうな本たちが均一棚に引っ越して行きましたので、どなたか面倒を見ていただけると助かります。というわけで本日の傾向と対策をもう一点。

  • 均一棚にバーゲン品多数。早い者勝ちです。


 この作業はいつやってもあまり気持ちのいいもんじゃないのですが、やらないと「売れない、出せない、仕入れるばかり」という負のスパイラルにハマってしまうんで(実はもう片足突っ込んでいるような状態かも)、明日も引き続きやります。
(宮地)

Reggae King of the World

Bob Marley: Reggae King of the World
 今日は買い取りは少なめ。黙々と出しました。本日の品出しにあげたなかでは、ボブ・マーリーのものが断然おすすめ。デザイナーのTroy Caineという人の仕事っぷりが素晴らしく、散りばめられた写真を眺めるだけで音が聞こえてきます。
 アップしなかったもののなかには、塩山さんの『東京の暴れん坊』、伊藤文學「『薔薇族』の人びと」、月刊精神病新聞増刊「精神病の本」(増補版)、『キープ・オン!南正人』なども。あと文庫本では、ドゥルーズの『意味の論理学』、ゴンブローヴィッチの『フェルディドゥルケ』など堅めのものに混じって出した『世紀末大東京遊覧』(文春文庫)が掘り出しもの。なんと岸田衿子さんが「谷中界隈味散歩 私の好きなおいしい店」という記事を書かれています。22年前の衿子さんがどんなお店を挙げているかは、読んでのお楽しみということで。100円均一棚です。
(宮地)

職場復帰

 ほおずき市も無事終わり、本日職場復帰いたしました。ほおずき市については、谷根千ウロウロさんの下記のエントリに、とても美しい写真と気持ちのこもった文章が載っています。ぜひご覧ください(ぼくの書いたものも引用されていて少々気恥ずかしいのですが)。


 金色の空と茜色のほおずき市 http://yanesen-urouro.bakyung.com/2009/07/post09071000.html


 今日は持ち込まれる本の査定のかたわら、文庫本を中心にちょぼちょぼと出しました。主なものは例によってこちらで。植草さんの本は、他にスクラップ・ブックの6、10、19、40、別巻、平凡社コロナ・ブックスの『植草甚一スタイル』も。コミさんも文庫本を4冊。『世界酔いどれ紀行 ふらふら』(知恵の森文庫)ほか。内田百閒の福武文庫も他にも9冊(こちらはすべて525円以下)出しました。あと、今日買い取った本からは、人気の女性作家(というくくりはどうかと自分でも思うけど)の今年出たものを。桐野夏生角田光代有川浩ほか。

 明日はたぶんもっといろいろ出せるんじゃないかと。
(宮地)

100円以外の本も売れますように

 南陀楼さんの仲介で、先週の水曜日浦和まで出張買い取りに行ってきました。目下店内はその際お預かりした本で溢れているのですが(1000冊は下らないと思います)、おとといの日曜日から少しずつ棚に出しはじめています。本当はすべての査定が終わってから出すのが筋なのですが、「品出ししながらの査定でかまわないよ」と仰ってくださったので、お言葉に甘えてそうさせていただいてます。ありがたいことです。

 というわけで、それらも含め、今日も雑多に出しました。ここのところ売れていくより出す方が圧倒的に多いため、新入荷棚には厳選したもののみ並べ、その他の本はそれぞれの棚に直行してもらっています。お時間のある方は、くまなくご覧いただくのが吉かと。本日の特徴は

  • 本についての本
  • 500円均一にお値打ち本

といったあたりです。

 ところで、最近のぼくのテーマは「100円均一にこそ気の利いたものを入れる」なのですが、そのせいか100円の本がよく売れます。とてもうれしいのですが、ふと思い返すと100円の本ばかり売れているような気も。難しいところですが、でも「こんなのが100均にあった(やった!)」というお客さんの表情を見ると、こちらも幸せな気持ちになるのです。
(宮地)

ゴロワーズを吸ったことがあるかい

叱り叱られ
 今日は気合い満々で出勤したんですけど、週明けはあれこれと雑務があってエンジンがかかったのは15時過ぎから。でも、ほぼ目論み通り出せました。主役はひと昔前の文庫本。主だったものは例によって本日の品出しにあげましたが、「アップするほどではないけど、ちょっと珍しくて手頃な値段のもの」も文庫新入荷棚にたくさん並べました。うちの店としては珍しく、黒っぽいものもそれなりにあります。


 あとは今日買い取ったもの中心の品出し。めぼしいところでは内田樹のハードカバーが10冊。ここ1、2年に出たものこそありませんが、その分安めに設定しました。早速『9条どうでしょう』が売れて、ちょっとご機嫌です。好きな本ですしね。

 それと、音楽の本も7、8冊。本日の品出しには版元品切れのものを中心にアップしましたが、おすすめはなんと言ってもサンボマスター山口隆の『叱り叱られ』。山下達郎大瀧詠一岡林信康ムッシュかまやつ佐野元春奥田民生という「僕の好きな先輩」との対談集ですが、面白いや会話や知らなかった話が山盛りです。たとえば、ムッシュとはこんな話を。

山口 (前略)忌野清志郎さんと初めてお会いしたときに、RCサクセションの『シングル・マン』でタワー・オブ・パワーとやっているっていう噂を、ご本人に確かめたことがあるんですよ。すると「そうですよ。でもあのとき、かまやつさんとか、けっこういろんな人とやってたんじゃないかな」っておっしゃっていて。
かまやつ そうです、そうです。ぼくの「ゴロワーズ」のセッションが終わった後にポリドールへ行って、清志郎さんたちのバックをやったみたいな。
(中略)
かまやつ 知り合いの呼び屋さんが彼らを呼んだので、ダメもとで「タワー・オブ・パワーとやってみたい」なんて言ったらOKが出ちゃって。その当時、ぼくはフェイセスが好きで、ロッド・スチュワートを気取っていたから、「我が良き友よ」の、ゲタ履いて腰に手ぬぐいぶら下げて、っていう詞を歌うのにすごく抵抗があったわけ。じゃあB面は自分がやりたいことをやるんだと、いろいろ考えていたら、タワー・オブ・パワーがつかまって。だけど、曲なんかないわけ。しょうがないから勝手に、眠っていてもできるようなコード進行を書いて渡して、そのカラオケを聴きながら「ここからここの部分は歌ね」ってメロディーを作って、詞も書いて。時間がなかったしね。
山口 へぇー!「ゴロワーズ」って、そんな短時間に作った曲なんですか。あの詞、俺、メチャクチャ好きですけどね。
かまやつ 無性に「ゴロワーズ」って単語が好きだったから、手元にあったネタなんだよね。これで何か作れないかな、なんて。

ゴロワーズを吸ったことがあるかい」制作秘話。信じられないけど、ほんとなんだろうなあ。

 山口隆は「対談を終えて」のなかでもゴロワーズについて触れています。この文章がまた何ともよくって、引用するつもりでいったん打ち込んだのですが、そこだけ抜き取るようなことをすべきものじゃないよな、と思い直し消しました。今日のエントリをここまで読んでくださった方には、どこかで目を通していただけるとうれしいです。


 さて、せっかくなので「ゴロワーズ」の動画でも、と探してみたら、スゴいのがありましたよ。ティン・パン・アレーをバックに唄う、若き日のムッシュ。細野さんのベースのかっこよさも特筆ものです(「ゴロワーズ」は3分過ぎから。ヘッドホン推奨)。

 僕は全然知らなかったのですが、1976年にTBSで放映された「セブンスター・ショー」という番組だそうです。演出は久世光彦。こんなのが手軽に見られる時代になったのですねえ。びっくりしました。でも、この映像の貴重さに比べると、再生数は5000弱とそれほどでもないのですが。

(宮地)

スモール・フェイセスを聴きながら買い取りの査定

koshohoro2009-06-30


 今日は丸一日買い取りの計算に充てました。大口の預かりが2件残っていたのですが、「計算はいつでもいいから」というお言葉に甘えてしばらく待っていただいていたもの。よって、以下は昨日の品出しについてです。

 めぼしいものは例によって本日の品出しで。個人的に興味を惹かれたのは『校正夜話』という本。タイトルもスゴいけど著者の名前がなんとも勇ましい。以下は帯の文章ですが、これがまた折り目正しいのでした。

”校正の神様”が自ら語る「仕事と人生」
大正5年から半世紀、漱石、龍之介、露伴、鏡花などの全集を卓越した校正者として手がけた著者は、今日の精緻な書籍校正の技術を確立、書物の世界に多大の貢献を果した。多感な青年期、仕事に没入した壮年期、「出版の老小僧」と自称した晩年まで、見事に全うした人生の軌跡がここに在る。


 ほかには、状態が今ひとつなのでアップしなかったものの、ハヤカワ文庫Jr.『超人ハルクスパイダーマン』、創元推理文庫のレナード・ウイバーリー3冊(小鼠シリーズ)なども出しました。比較的新しいものでは、中野純千野帽子町山智浩伊藤剛といった方々の本もパラパラと。また、はじめて知った本では『紙のクルマ。』というのがツボにハマりました。初版の1994年から版を重ねるロングセラーなのだそうですが(シリーズ化もされて第6集まで出てます)、確かに表紙画像を目にしただけで工作心をくすぐられてしまいます。ぼくも棚に出さずに切り抜いちゃおうかと思ったのですが、そこは商売に徹しましたので、どうぞお買い求めのうえお楽しみください。イセッタ・ベラムという車がしゃれてます。


 あと、中古CDも20枚ほど追加。

スタイル・カウンシルギル・スコット・ヘロン、ドクター・バザーズ&オリジナル・サバンナ・バンド、カルチャー、ジョン・コルトレーンテレヴィジョン、ローランド・カーク、コールド・ブラッド、アストル・ピアソララヴィン・スプーンフル沖縄そば屋さんのBGM

 ご覧の通り大変強力なメンバーで、個人的に所有している盤も多数。「興味はあるけど聴いたことない」というものがもしあったら、この機会にぜひ。本当はここにスモール・フェイセスも入るはずだったのですが、これだけまとまって入荷することはそんなにないだろうと思い、出すのをいったん保留して今日ひたすら聴いている、というわけです。今のぼくにとってのベスト・テイクはイミディエイト盤『SMALL FACES』のA面2曲目「SOMETHING I WANT TO TELL YOU」。アルバム単位ではSee For Miles Recordsによる編集盤『The Singles As & Bs...plus』が良かったです。
(宮地)

均一棚刷新

 2日遅れのご報告ですが、水曜日の話。定休日で、例によって店内で在庫整理。在庫整理というのも便利な言葉ですが、具体的に何をしているかというと、まず、長らく売れていないものを見切って均一に回したり、そのために均一棚からあぶれてしまった本を処分したり。基本的には売れていくより持ち込まれる方が多いですから、これをしないとあっという間に本に埋もれてしまいます。一昨日は大きめの段ボール5箱分くらい処分しました。
 あと、買い取ったもののすぐに出すには微妙な本、たとえば売れづらそうとか、汚れがひどく商品にするのに手間がかかるとかでうっちゃといたものの仕分け。ちゃんと掃除して然るべき値段で棚に並べるものもあれば、均一に回すものもあり、よくよく点検した結果処分するものもあり、といった感じ。まあともかくそういう地道な作業を一日中。終わったのは午前2時。
 結果として、均一棚がかなり入れ替わりました。ここ最近の例にもれずイケイケなので、「まあいっか100円で」とか「もったいないけど300円」とか呟きながら出したものが結構あります。おすすめは色川武大の『寄席放浪記』。ほか、殿山泰司田村隆一東峰夫の品切れものなども100円で出しました。よかったら拾ってやってください。
 とまあぼくはそんな仕事ぶりだったのですが、横で働いてたミカコは結構いい本バンバン出してましたよ。そちらについては本日の品出しでご確認ください。

(宮地)