ゴロワーズを吸ったことがあるかい

叱り叱られ
 今日は気合い満々で出勤したんですけど、週明けはあれこれと雑務があってエンジンがかかったのは15時過ぎから。でも、ほぼ目論み通り出せました。主役はひと昔前の文庫本。主だったものは例によって本日の品出しにあげましたが、「アップするほどではないけど、ちょっと珍しくて手頃な値段のもの」も文庫新入荷棚にたくさん並べました。うちの店としては珍しく、黒っぽいものもそれなりにあります。


 あとは今日買い取ったもの中心の品出し。めぼしいところでは内田樹のハードカバーが10冊。ここ1、2年に出たものこそありませんが、その分安めに設定しました。早速『9条どうでしょう』が売れて、ちょっとご機嫌です。好きな本ですしね。

 それと、音楽の本も7、8冊。本日の品出しには版元品切れのものを中心にアップしましたが、おすすめはなんと言ってもサンボマスター山口隆の『叱り叱られ』。山下達郎大瀧詠一岡林信康ムッシュかまやつ佐野元春奥田民生という「僕の好きな先輩」との対談集ですが、面白いや会話や知らなかった話が山盛りです。たとえば、ムッシュとはこんな話を。

山口 (前略)忌野清志郎さんと初めてお会いしたときに、RCサクセションの『シングル・マン』でタワー・オブ・パワーとやっているっていう噂を、ご本人に確かめたことがあるんですよ。すると「そうですよ。でもあのとき、かまやつさんとか、けっこういろんな人とやってたんじゃないかな」っておっしゃっていて。
かまやつ そうです、そうです。ぼくの「ゴロワーズ」のセッションが終わった後にポリドールへ行って、清志郎さんたちのバックをやったみたいな。
(中略)
かまやつ 知り合いの呼び屋さんが彼らを呼んだので、ダメもとで「タワー・オブ・パワーとやってみたい」なんて言ったらOKが出ちゃって。その当時、ぼくはフェイセスが好きで、ロッド・スチュワートを気取っていたから、「我が良き友よ」の、ゲタ履いて腰に手ぬぐいぶら下げて、っていう詞を歌うのにすごく抵抗があったわけ。じゃあB面は自分がやりたいことをやるんだと、いろいろ考えていたら、タワー・オブ・パワーがつかまって。だけど、曲なんかないわけ。しょうがないから勝手に、眠っていてもできるようなコード進行を書いて渡して、そのカラオケを聴きながら「ここからここの部分は歌ね」ってメロディーを作って、詞も書いて。時間がなかったしね。
山口 へぇー!「ゴロワーズ」って、そんな短時間に作った曲なんですか。あの詞、俺、メチャクチャ好きですけどね。
かまやつ 無性に「ゴロワーズ」って単語が好きだったから、手元にあったネタなんだよね。これで何か作れないかな、なんて。

ゴロワーズを吸ったことがあるかい」制作秘話。信じられないけど、ほんとなんだろうなあ。

 山口隆は「対談を終えて」のなかでもゴロワーズについて触れています。この文章がまた何ともよくって、引用するつもりでいったん打ち込んだのですが、そこだけ抜き取るようなことをすべきものじゃないよな、と思い直し消しました。今日のエントリをここまで読んでくださった方には、どこかで目を通していただけるとうれしいです。


 さて、せっかくなので「ゴロワーズ」の動画でも、と探してみたら、スゴいのがありましたよ。ティン・パン・アレーをバックに唄う、若き日のムッシュ。細野さんのベースのかっこよさも特筆ものです(「ゴロワーズ」は3分過ぎから。ヘッドホン推奨)。

 僕は全然知らなかったのですが、1976年にTBSで放映された「セブンスター・ショー」という番組だそうです。演出は久世光彦。こんなのが手軽に見られる時代になったのですねえ。びっくりしました。でも、この映像の貴重さに比べると、再生数は5000弱とそれほどでもないのですが。

(宮地)