「本日の品出し」の歴史的転換?

 昨日と今日の本日の品出しを見ていただけば一目瞭然ですが、もう片っ端から出してます。これまでは一度に大量に出すときでも繋がりとか一貫性とかを考え、「本日の品出し」も一日がそれなりに脈絡をもつように並びを工夫したりしていたのですが、溢れかえる在庫を前に「もうそんなことしてる場合じゃない」とつくづく思い、止めることにしました。その日出す本を夜までいったん貯めておき、アップする前にそれらしい並びに積み直し、しかる後棚に並べる、というのはやはり結構な手間で、そんなことに労力を割くより1冊でも多く本を出そう、と。結局のところただの自己満足だったりしますし。

 というわけで、ここ2日間は、数冊ごとに「掃除→値付け→サイトにアップ→棚に並べる」という工程を繰り返したのですが、やっぱり速いですね。全然速い。それにそのサクサク感が気持ちを沸き立たせるのか、集中力も続くようだし。あと、その日の仕事の流れが「本日の品出し」にそのまま反映されるので、ひょっとすると古本屋のライブ感のようなものも伝わるかも、なんて思ってみたり。
 たとえば今日を例にとると、最初の『アイリッシュ・ミュージック・ディスク・ガイド』と三島2冊は本日開店直後に買ったばかりのウブい本ですし、ユルスナールからマリオ・プラーツまでは昨日の夕方買って「明日の目玉に」と思っていたもの。で、『古事記注釈』から後は、先週お預かりして今日の午後支払いが終わった本。これなんか、もしもう少し早く雨が降りはじめていたら今日は支払いができなかったかもしれず、だとしたらまた違った本が棚に並んでいただろうし、あるいはもし雨が降らなかったら、支払いは済んでもほかの買い取りに追われて、やはりこれらの本は出せなかったかもしれない、とかそういったことが(まあ、こうやって説明しないと伝わりようがない気もしますが)。
 でも、そんな偶然に左右されて出された本をその日はじめて来店したお客さんが買ってゆく、なんてことも、決して珍しいことではないのです。いや本当に。


 さて、調子に乗って脱線してしまいましたが、「本日の品出し」以外のことも手短にご報告すると。

 まず、安い本をたくさん出しました。気持ちがイケイケなので、ともかく「迷ったら安く」値付けして均一棚に放り込んでます。特に「珍しいけど状態がなあ」というものを100円にたくさん入れときましたので、お近くの方はぜひのぞいてみてください。おすすめは和田誠の『ビギン・ザ・ビギン』でしょうか。


 あと、先週に引き続き中古CDも出しました。今日は20枚ほどで、面子はこんな感じです。

松永孝義、ベック、マイク・オールドフィールド、やちむん、フランス・ギャルフィッシュマンズCalmソニー・クラークチェット・ベイカー湯川潮音ジョン・コルトレーンBonnie Pink

Moonage Electric Ensemble はじめて聴くアルバムでは、Calmの『Moonage Electric Ensemble』というのが素晴らしかったです。包み込まれる感じ。


(宮地)
 

シビル・シェパードと言えば

マッド・アバウト・ザ・ボーイ(紙)
こちらブルームーン探偵社』ですが、今回出したのはスタン・ゲッツを従え唄を披露した『マッド・アバウト・ザ・ボーイ』。なんと紙ジャケであります。確かに雰囲気のあるジャケットで、ぼくも昔アナログ盤持ってましたけど、こんなのものまで紙ジャケCDの需要があるのか、というのが正直な感想ではありますね。

 まあそんなわけで、昨日は久しぶりに中古CDを30枚ほど出しました。どうしても本を優先しがちなためなかなか手が回らないのですが、ここのところよいものがたくさん入ってきていますので、今後も乞うご期待。ちなみに昨日のラインナップはこんな感じ。

スカンク兄弟、ビョーク、オアシス、ナラ・レオンアート・ブレイキーラモーンズシカラムータ、ザ・ハウリング・ヘックス、トミー・ゲレロソニック・ユースデッド・ケネディーズ小坂忠マイルス・デイビスビリー・ジョエルニール・ヤング

 個人的な新発見はスカンク兄弟。なごみます。


(宮地)

『1995年 未了の問題圏』

1995年―未了の問題圏
 つい最近、遅蒔きながら『中村屋のボース』を読んで、中島岳志という人に俄然興味が湧いているところ、この本が入ってきました。横浜市立大学教授の中西新太郎が「ちょうど20歳前後で95年を迎えている」人たちと対談してます。75年生まれの中島岳志もその一人。
 対談自体もいろいろと考えさせられるものでしたが、その後に付された「ゆるくて熱い―よしもとよしとも青い車』」というコラムがとても良くて、なかでも以下のフレーズが印象に残りました。

 私たちは、95年に、もはや強度では生きられないところに立っていた。別の言い方をすれば、「ラブリー」を歌っていたオザケンは、93年にすでに「天使たちのシーン」を歌っていた、ということだ。

  
 なお、下記の本も同時に出しました。

(宮地)

岩波文庫300冊

アーネスト・ダウスン作品集 (岩波文庫)
 昨日、大放出しました。内訳は、赤帯が100冊とちょっと、緑、青帯がそれぞれ80冊くらい。あと、白、黄帯と別冊少々。もっとも、ここ15年ほどの間に出たものばかりなので実際に帯がついているものは皆無ですが、それでも版元品切れのものが50冊くらいはあります。その一部と、値の張るセットものについては本日の品出しに上げときましたのでご覧ください。
 赤帯では200番台が一番多く、これはうちの店の傾向としては珍しいかもしれません。そのなかから画像に選んだのは、南條竹則編訳の『アーネスト・ダウスン作品集』。以前ミカコも書いてましたが、わが家ではこのところずっと南條さんブームなので。

(宮地)

「世界」(岩波書店)バックナンバー

世界 2009年 06月号 [雑誌]
 2007年4月号から2009年6月号まで、全部で21冊。1冊100円です。揃いではなく、ところどころ抜けがあります。
 あと、別冊も2冊。一昨年の「北朝鮮核実験以後の東アジア」と、最近出た「世界経済危機と東アジア」で、こちらはそれぞれ315円です。
「世界」なんてほんと久しぶりに手に取りましたが、たとえば先月号の特集は「岐路に立つ象徴天皇制」で、あいかわらず「らしい」内容。目玉の原武史桐野夏生の対談は、原武史ファンとしては読んでおきたいところですが、今日はこのあと出さなければいけない本が山のようにあるんですよね。

(宮地)

「週刊FM」と「スイングジャーナル」

「週刊FM」は200冊ほど、「スイングジャーナル」は100冊ほど出しました。1冊100円。どちらも1970年代後半から80年代前半にかけてのものです。

スイングジャーナル」は今のところ10年分くらいが揃っています。ジャズにとって必ずしもよい時代ではなかったわけですが、ディスコグラフィーなどは重宝しますし、必要な情報が載ってる号なら十分元が取れます。

「週刊FM」はもうすでに10冊以上売れました。思いのほか反応があってびっくりですが、こちらは資料的価値というよりはノスタルジーのよう。たしかに番組表をパラパラめくると実際に自分がエアチェックした音源などもあって懐かしい限り。*1


付記
 一箱古本市水族館劇場も終わり、ほうろうは品出しの季節です。この数ヶ月、例年以上に買い取りが続いたものの、まだ半分も出せていません。8月末の決算に向けてせいぜいがんばりますので、ご期待ください。

 さて、この新しいカテゴリー「品出し短信」は、そんな意気込みを涸らさないためにつくってみました。めぼしいものについては従来通り本日の品出し欄にアップしますが、その際の画像による補足、いちいち記載するほどではない本やその日の大まかな品出しの傾向、および棚に出す前にパラパラと読んで印象に残った部分の覚えなどをここでフォローしようと考えています。すでにある「出した本やCD」との違いは、文章になってるかどうか、ですかね。ここはあくまでメモ程度のコーナーにして、そのかわり頻繁に更新するようにします。

(宮地)

*1:もっともわが家は「FMfan」派だったのですが。表紙のジャケット写真を切り抜いて、下敷きに挿んだりしたものです。

熊楠がいっぱい

 その後、22時半頃まで品出し。一箱前の最後の悪あがきが連日続いています。途中、一箱助っ人のSさんご夫妻が来店。なんでも5月3日にご自分が担当する大家さんの下見に来てくださったとのこと。ありがたいことです。先日出したパシフィカ刊の名探偵読本シリーズについて、いろいろ教えていただきました。

 今日の品出しはすべて南方熊楠関連本。詳細はこちらをご覧ください。こんなにまとめて出せるのは、最初で最後かもしれません。平凡社版の全集揃いは、正直状態もヒドいものですし、書込みも大量になされています。でもあるひとりの研究者が使い込んだものなので、その書込みにしても無意味なものではありませんし、そういうことが気にならない方にはとてもお買い得かと思います。今日出したものは、一箱古本市week期間中は店頭販売のみです。ご来店、お待ちしております。

(宮地)