柳下美恵「お花見映画会」

 ほうろう4月のイベントが正式に決まりました。

オリジナルのピアノ伴奏で見せるサイレント映画上映会で活躍する無声映画伴奏者の柳下美恵さんが古書ほうろうにやってきます。
伴奏付上映のスタイルをお馴染みの方も、はじめての方も気軽にお楽しみいただけるよう、上映する映画は中編短篇2本、あいだに休憩をはさんでゆるりとご覧いただきます。また、上映終了後には、せっかくの春の宵、夜桜見物へくり出そうかと予定しております。みなさま、お誘い合わせの上、どうぞお運びください。


【お日にちと始まりのお時間】

  • 平成21年4月1日水曜日
  • 午後7時半くらいから 夜桜見物は9時くらいから
  • 木戸銭 2000円(休憩時間に赤ワイン又はほうじ茶が出ます)

 *マイカップ持参の方は木戸銭100円引き 

 無声映画伴奏者として活躍されている柳下美恵さんによる「お花見映画会」です。『恋の睡蓮』、『モダン怪談100000000円』の2作品を柳下さんの音楽ライブ付きで上映、そのあとみんなで谷中墓地あたりの夜桜見物に出かけましょ、という企画。

 サイレント映画15作品によせた柳下美恵さんのオリジナル伴奏集、『Sound of Silent』*1の序文にはこんなふうに書かれています。


「映画はライブ演奏と共に上映することがごく自然な形でした。つまり、映画館はコンサートホールの役割も果たしていたのです」
 
 なんとも贅沢ですね。
 例えばチャップリンの作品は誰でも一度は目にしたことがあると思いますが、当時はもっとゆっくり映写していたそうで、あの独特の早回しのような映画ではなく、自然な動きの映画だったようです。きっとゆったりと音楽とともに楽しんでいたのでしょう。
 字幕を追いながら耳に届く演奏は、観客のイマジネーションを掻き立て、それぞれの頭の中で、観ている人の数だけの作品が創られてゆく。なんだか脳みそのいつもとは違う部分が刺激されそうです。

 
 また、柳下さんは映画保存協会の正会員でもいらっしゃいますが、今回上映される『モダン怪談100000000円』は、旧家のコレクションの中から協会により偶然発見されたフィルムで、「斎藤(監督)の現存する最古の喜劇作品である」(2007年4月現在)のだそうです。(上映はDVDになります)
 映画保存協会のサイトに、フィルム発見からそのフィルムを上映できるように復元するまでの経緯が詳しく書かれていますので、是非読んでみてください。=http://www.filmpres.org/archives/118
 
 当日は、木戸銭2000円で、休憩時間に赤ワインかほうじ茶をサービスいたします。また、マイカップをご持参いただいた方は、木戸銭が100円引きになります。日程など詳細はこちらから=http://www.yanesen.net/horo/info/1764

 今年の春はすてきなお花見ができそうですね。みなさまお誘い誘い合わせの上お運びください。(尚、この日はイベントのみの営業となります。)

 一足先に3月には旧安田楠雄で開かれるお屋敷落語会「千駄木で龍志を聞く会」立川龍志口演会のロビーゲストとして柳下さんが演奏されます。http://www.yanesen.net/topics/topic/3080/
 

(ミカコ)

柳下美恵プロフィール
Yanashita Mie(キーボード、鳴りもの)


無声映画伴奏者。
欧米スタイルのピアノ伴奏で見せるサイレント映画上映会で活躍中。
武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業後、会社勤務を経て、
1995年、映画生誕100年祭記念上映会(朝日新聞社提供)でデビュー。
以来国内外で公演し、手掛けた作品は約400。
1920,30年代を中心としたクラシック映画の上映会=活動倶楽部をたちあげ、ピアノ伴奏と共に運営に携る。
シリーズ企画は“洋館で映画と音楽を”“聖なる夜の上映会”“お宝映画上映会” など。
2007年より“ロスト・フィルム・プロジェクト=残存する映画の場面写真を画像として見せながら語りと音楽で失われた映画を再構築する試み”を始める。
映画保存協会正会員。昨年よりフィルム救済プロジェクトを始める。
2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。

恋の睡蓮(こいのすいれん) TheToll of the Sea
(1922/米/DV/40分/二色テクニカラー/日本語字幕付)


監督 チェスター・M・フランクリン 主演 アンナ・メイ・ウォン
中国系アメリカ人、アンナ・メイ・ウォン演ずる中国版蝶々夫人とも言えるメロドラマ。
アメリカ初の貴重なテクニカラー映画。 

モダン怪談100000000円(もだんかいだんいちおくえん)
(1929/松竹グラフ短縮版/DVD/16分/モノクロ)


監督 斎藤寅次郎 主演 斎藤達雄、松井潤子
駆け落ちした若い二人が、先行きを悲観して赤城の山で心中をはかろうとするが、ふとしたことから国定忠治埋蔵金探しに加わることになり…
発想が豊かすぎる!日本の喜劇の大巨匠、斎藤寅次郎監督の幻の傑作。

*1:CD『Sound of Silent』はほうろうでも販売しています。¥2,500です。