エリザベス・コップフのエア・シガレット

 11時半起床。結構寝たのにそんな訳でぐったりとした目覚め。まあ、夢でよかったけど。洗濯機を2回回す合間に、ミカコ手製のトマトと舞茸のパスタを食べ、インターネットで今年デビューする2歳馬の血統表を眺めたり*1してたらあっという間に16時で、慌てて尾久図書館へ。バタバタ働いて19時45分終業。まっすぐ帰れば20時には自宅ですが、今日はここからが本番。自転車を飛ばして浅草は「ギャラリー・エフ」へ*2


 ギャラリー・エフは江戸時代末期に建てられた土蔵を改修したユニークなスペース。学生時代の友人、山口剛がオープンの時から携わっているのですが、ひと月ほど前、その山口から久しぶりに電話をもらいました。なんでも「こんど、オーストリアのグラフィック・デザイナーの展示をするのだけど、来日した彼女の要望で、急遽大量の古雑誌が必要になった」とのこと。膝くらいまでの高さの束が30ほど必要だったのですが、なんとか20くらいは用意してお貸ししたのです*3。こんな機会は滅多にあるもんじゃないし、どんなふうに使われるのかも興味津々。ということで早く観たかったのですが、一箱古本市weekと思いっきり重なってしまったため今日まで延び延びになってしまいました。

 エリザベス・コップフという、このデザイナーのことは、今回までまったく知らなかったのですが、一目で気に入りました。その人となりやこれまでの仕事については、こちらの「ギャラリー・エフ」のページをご覧いただきたいのですが、デザイン的にはとても洒落ているのに、その主張するところは戦闘的。そして、そのバランスが絶妙なのです。近年ずっと続けている「エア・シガレット」というプロジェクトの東京ヴァージョンであるこの展示もまさにそうで、観る人をまず視覚的に魅了することで、作品への興味をかきたてるのですね。いや、参りました。力及ばずこの日記のアップは展示最終日になってしまいましたが、お近くの方はぜひお運びください。また、少しでも興味を持たれた方は「STUDIO VOICE」最新号に掲載されているインタヴューもご覧ください。


 観おわったあとは、併設のバー(昼間はカフェ)でビールを飲みながら、感想や世間話を。道すがら祭装束の男たちをあちこちで見かけたので気付いてはいましたが、今日から三社祭。でも、ご存知のように今年は本社神輿が出ないため、地元は今ひとつ盛り上がっていないそうです。もちろん町内神輿は出るし、山口も担ぐそうだけど、やっぱり宮出しがないと、なんて話から、共通の友人の動向まで。でも今日何より書いておかなければいけないのは、この一見「ギャラリー併設」で「外国人旅行客の目立つ」バーが、ビール好きにとっては堪らない魅力を持った店だということ。ここはサンフランシスコの地ビール「アンカー」が各種取り揃えられている知る人ぞ知る貴重なお店なのです。しかし、これがうまい。最初の「リバティエール」もうまいかったけど、次に飲んだ「ポータービール」がまたうまい。
beer mania!(ビアマニア)―飲んでおきたい世界のビール77本
 あんまり「うまい、うまい」と飲んでいたら、バーテンダーの方が「ビール好きでしたらこの本がお勧めですよ」と、藤原ヒロユキ『ビアマニア!』という本を貸してくださったのだけど、これがまた素敵な本。全部で160頁ほど半分ほどを「エールのスタイル」という章が占めてますよ。藤原さん自身の手になるイラストにまた味があって、眺めているだけで楽しくなっちゃいます。これはぜひ入手しなければ、とメモを取り、「本を探すのはまあ本職ですから」と話すと、「たくさんあるので」と、なんと倉庫からもう1冊お持ちくださり、いただいてしまいました。ありがたいことです。というわけでみなさま、浅草にお出かけで、おいしいビールが飲みたくなったら、ぜひ「ギャラリー・エフ」までお運びください。またその際は、見事に再生された蔵と、そこでの展示もお忘れなく。

 最後にもう1枚写真を。やはりお土産にいただいてしまった、エリザベスさんのデザインしたCD。山口がぼくのことを「音楽が好きな男」と説明したら、「だったらこれを」と託して帰国されたそうです。何たる心遣い。直接お会いできなかったのは残念でしたが、おそらく一生知らずにいただろう人とこんなふうに繋がるなんて、生きていくということは、ほんと不思議なことです。この3枚のCDから、また新しい世界が広がるのだろうし。

(宮地)

*1:個人的な夢の組み合わせはこちら、父ロサード、母の父サクラチトセオーであります。まあデビューしてくれれば御の字。で、クラシック路線への期待はこの馬や、あとまあベタだけどこの馬に託します。あとついでなので書いちゃいますが、今もっとも楽しみにしているのはこの馬、サクラリーバポート。でも「リーバポート」ってなんだよ?と思ったら「leave a port」。これはちょっとわかんないなあ。ただまあ「出航」ですからね、語感はともかく悪くない名前。ぜひ大成してほしいものです。

*2:田端新町のあたりから、都バス草64系統と並走、抜きつ抜かれつのデットヒートに。吉原大門付近でいったんかなり引き離されたのですが、馬道の交差点で追いつき、最終的には逃げ切りました。所要時間は25分ほど。

*3:展示内容にはまったく関係ないのですが一応内訳を記しておくと、「月刊PLAYBOY」の創刊号からの揃いが300冊ほどと、「EQ」のやはり揃いが50冊ほど。この辺はまとめて出そうと思いつつも果たせず、死蔵されていたもの。あと「Quick Japan」や「ニューミュージック・マガジン」も結構まとめて。こちらはダブりのものですね。