二夜連続ライブ 番外篇「10年前のこと」

 最後にちょっとだけ想い出話を。

 10年前の二夜連続ライブは、1日目が平安隆さんで、2日目がOKIさん。沖縄の三線と、アイヌトンコリ。「北と南から」という謳い文句で手描きのポスターを作ったことを憶えています。当時は今と違って棚にキャスターなどついていません。なので、本を一旦全部棚から抜いて、棚を端に寄せて、また全部入れ直すという、凄まじい労力を払って会場をつくっていました。当然復元も同じ作業の繰り返し。結局1回のライブをやるのに丸2日間営業を休むという(このときは丸3日)、なんとも優雅な時代でありました。おまけに設営後は棚に白い布を掛けて本を保護したので、もうとても古本屋には見えません。でも、そこにゴザを敷きつめてできあがった、がらんとしたあやしげなスペースが、実に魅力的で。忘れられないのは平安さんの日のアンコール。当然のようにカチャーシーになって、客席の真ん中にやってきた平安さんをみんなで囲んで踊り狂いました。そして終わった後はそのまま宴会。本なんか1冊も売れないのに、ただただ「自分の店でライブをしたい」という気持ちだけで動いていたあの頃が、ちょっとだけ懐かしいです。それからしばらくして、さすがにそんな悠長なことはできなくなって今のようなスタイルに移行していくわけですが、それでも古書ほうろうのイベントの根っこには、今もそういう気分が残っているような気はします。
(宮地)