「声に出して読みたい盗作」
そして明日は、「『ぐるり』プレゼンツ 南陀楼綾繁のトーク十番勝負」の第4回、「声に出して読みたい盗作」。この夏、読書好きの間で大評判の本『<盗作>の文学史』の著者、栗原裕一郎さんをお招きして、<盗作>という、わかったようでわからない行為(あるいは現象)について語り合います。ゲストは文芸評論家の安藤礼二氏。正直、どんな内容になるのか想像できないのですが、目玉のひとつはタイトルにもある「声に出して読む」コーナー。オリジナルと盗作を並べて朗読するなんて、ずいぶん意地悪で楽しそうな企画ですが、そういう表面的なことだけじゃなく、もっと別の何かが聞こえてくるんじゃないかと、秘かに期待しています。
というのも、この栗原さんの本はその性質上、オリジナルの文章とそれを<盗作>したとされるものとの引用による対比がそれなりのウェートを占めているのですが、その部分というのはどうしても読み飛ばしがちなんですよね。字面はちゃんと追っていても、実際に頭のなかで詳らかに比べるところまではなかなかいかないのです(とくにそれほど感心のないものについては)。その点、この「耳で味わう?」という試みは、ひとつにはそれを補ってくれるのではないかと。それに加え、今回は朗読を佐藤わこさんがしてくださることになりましたからね。一度でもわこさんのリーディングを聴かれたことがある方なら、彼女の声の持つ魅力はとうにご存知でしょうけど、あの声で読まれたら、それがたとえ<盗作>であろうとも耳にこびりついてしまうんじゃないかなあ。個人的には『ライ麦畑でつかまえて』と『赤頭巾ちゃん気をつけて』の読み比べが聴いてみたいですね。この本でもっとも印象に残ったのが庄司薫についての部分でしたし(見事な検証で知らないことをたくさん教えていただきました。*1)。ただただ『赤頭巾ちゃん』(というか庄司薫節)をわこさんで聴いてみたいだけ、という気もしますけど。
そんなわけで、明日もとても興味深いイベントになりそうです。みなさん、ぜひ古書ほうろうまでお運びください。こちらも19時開演。「生ビール祭」もやりますよ。
(宮地)
*栗原裕一郎さんもはてなでブログをされています。タイトルは「おまえにハートブレイク☆オーバードライブ」。