ドンベーブックスさん、一箱出店中です


 先々週の土曜日から、ドンベーブックスさんの箱がほうろうに並んでいます。一昨年の秋からはじめた一箱古本市の「古書ほうろう賞」もこれで4回目。毎回みなさんお忙しいなか出店くださり、楽しかった古本市の余韻を味わわせていただいています。

 さて、今回のドンベーさんは今日で10日目。ちょうど初日が『東京サイハテ観光』の幻燈トークショーと重なっていたため、最初の2日間はそれに合わせての東京本特集。そこでいったん入れ替えて昨日まで。そして昨晩三たび来店されて今日からまた新しいラインナップでのお目見えとなります。なんだか随分頻繁に補充しているようにみえるかもしれませんが、なにしろ次から次へと売れていくのでこれで丁度いいのです。
 昨日までの9日間で売れた本は全部で46冊。これまでほうろう賞で出店してくださったどの方よりもハイペースです。それなのに、売上合計はまだ11800円。1冊あたり250円ちょっと。出されている本を見る限り、驚くほど安いと言わざるを得ません。「自分だったらこの本にいくらまで出せるか」ということを、たえず念頭に置いて値付けをされているのがその理由だそうで、すれっからしの古本屋から見ると眩しいばかり。しかも、ぼくなんかから見たらすでに十二分に安いのに、それでも「まだちょっと高いのではないか」と逡巡されるそうで、そのあたりが一番よく伺えるのが「350円」という値付け。「400円じゃ高い気がするんですよねえ」と仰るその穏やかな口調には、ほんと頭が下がります。


 具体的なタイトルも少し挙げてみましょうか。すでに売れた本のなかにはたとえばこんなものがありました。

 どれも初日のトークショーに合わせて持ってきてくださったものですが、この日たまたまドンベーさんの箱を目にされた方なら、この3冊を千円札1枚で手にすることができました。

 あるいは、最初の入れ替えのあと昨日までの1週間だったら、五百円硬貨1枚でこんな2冊が。

 ドンベーブックスの箱には、自分にとっての本筋とはちょっと外れた、でもちょっと興味があるというような本、つまり、そんなにお金は出せないしすぐには読まないかもしれないけど手元にあるとうれしい本、そんな本たちが、まさに「買っといてもいいかな」という値段で並んでいます。もちろんそれは、ぼくにとってというだけではなく、おそらく多くの人にとっても。そしてこれは想像ですが、そのような多岐にわたる本が詰まっているのは、他ならぬドンベーさん自身がそのようなスタンスで本を買ってきたからなのでしょう。


 昨日新たに入荷した本についてもちょっとだけ。今回はほぼ総入れ替えしたので「これは!」というものもたくさん揃っています。なので、最初はそのなかから数冊ピックアップするつもりでした。こんな掘り出し物があるのでぜひお出でください、というように。でも、やめます。一箱古本市当日のことを思い起こせば明らかなのですが、そういうやり方はドンベーさんの箱にはそぐわないと気付いたので。ドンベーブックスは、その場で見つけて「おおー!」とか「やったー!」などと興奮するのが楽しい箱なのです。冒頭に載せた箱全体の写真だけを手がかりに、想像をたくましくしてご来店ください。

 とは言うもののそれだけではなんなので、最後に1冊だけ、とびっきりのものを紹介しましょう。初日からずっとあるのですが、なぜかまだ残っているので。ドンベーさんも「売れませんねえ」と仰ってましたが、こういうのって、ほんと巡り合わせなんですよね。探されてる方、たくさんいらっしゃると思いますが、ここにありますよー。
(宮地)