講談社ロマン・ブックス

 昨日あたりからようやく日常が戻ってきて、また品出しに精を出しはじめています。大変結構なことではあるのですが、それはつまり店が暇である、ということなんですよね。まさか一箱古本市week中のような賑わいがずっと続くと思っていたわけじゃありませんけど、一日中降り続いた土曜日の雨と、その後のこの寒さは正直予定外だなあ。なんて、愚痴っていても仕方ないので、出した本の話など。


講談社ロマン・ブックス」という新書判のシリーズは、この仕事をはじめる前から何となく好きだったんですけど、こうしてまとめて入ってきたものを並べてみても、その気持ちは変わらないですね。どうってことのない装幀にしか思えないのですが、どうしてなんでしょう。このちょっと古くさい字体と時代の空気を感じさせる絵とのバランスが絶妙、とか言えないこともないけど、それも大げさなような。


 あと、このシリーズで面白いのは、カバーの折り返し部分に書かれている「読者のみなさまへ」という一文。引用してみます。

*ロマン・ブックスは、明るく健康的で、豊富な話題に溢れた国民文学として、真に新しい時代のロマンと呼ぶにふさわしい傑作佳篇の数々を網羅したものです。
*ロマン・ブックスは、家庭に、オフィスに、常にあなたに楽しい憩いと安らぎを与え、明日の創造の糧となり、人生最高最良の伴侶となるよう、心をこめて編集された、ハンディーでスマートな名作シリーズです。

 そういうシリーズのタイトルが『夢魔』『逸楽』『伯爵令嬢の妖夢』というのは、なかなか懐が深いですよね。さすが講談社本日の品出しにアップしたもの以外にも『憂愁婦人』とか『鎌倉夫人』などの、明るく健康的な作品を取り揃えましたので、お近くの方は通りすがりにでもご覧ください。

 下の写真は、戸川昌子夢魔』の扉に描かれた、風間完の絵。ちょっと読んでみたくなりました。

(宮地)