ぼくはエリック・サティを知らない
おととい出した音楽の本のうち、まだ「本日の品出し」に載せていなかったものを、今日アップしました。武満徹から高田渡まで。詳しくはこちらを。
写真はそのなかで一番気に入ったカバー。エリック・サティがあちこちに書き残した文章やデッサンを集めた、1ページずつひもといていくのが楽しそうな、とても洒落た本なのですが、まあ、いかんせんフランス語なんですよね。なので、ちゃんと読みたいという方には、翻訳本をお薦めします。ただ、そちらは装幀がいまひとつのうえ高価でもあるので、モノとして手元に置いておきたいだけ、という方は(あとフランス語が堪能な方も)ぜひこちらをお買い求めください。
でも、正直言うと、エリック・サティのことは、あまりよく知らないんですよね。はるか昔、家にピアノがあった頃は、ジムノペディとか、手遊びに弾いたりもしましたが、1枚ずつレコードにあたってこの作曲家の仕事をたどってみる、という気持ちには、どうしてか、なりませんでした。いまあらためて作品一覧を眺めてみても、聴いたことのない曲のなんと多いことか。
まあ、そんなわけなのですが、せっかくなので、CDの紹介など。
サティの曲が収録されているアルバムで昔よく聴いたものに、橋本一子の『ムード・ミュージック』があります。広い意味でのスタンダード・ソングのカバー集なのですが、電気的かつアコースティックなサウンドのなかを漂う一子さんの気怠いヴォーカルは、高校を出たばかりの小僧に強烈な印象を与えました。いまでも大好きなジョビンの名曲「ハウ・インセンシティヴ」はたぶんこれで初めて知ったのですが、そんななか、最後に収録されていたのがサティの「ジュ・テ・ヴ」。アルバム全体のトーンに従い軽快さとは無縁に演奏されるこのヴァージョンがあまりにもしっかり刷り込まれたため、今でもたまに普通の演奏を耳にすると「あれ?」となります。サティが好きな方は、ぜひ一度聴いてみてください。文京区の図書館で借りることもできます。
もう少し一般的なものでは、去年はじめて知ったのですが、『プーランク・プレイズ・プーランク&サティ』というアルバムもよく聴きました。こちらは文京区と荒川区の図書館で借りられます。
(宮地)