加藤千晶と寒空はだか

俺様と私
 先週に引き続き、シネマヴェーラ渋谷で『仁義なき戦い』を2本観てから下北沢へ。神泉の駅をたぶん10数年ぶりに使い(ビルになってた!)、下北沢南口の変貌ぶりに驚く(ドトール消滅!)。シネマアートンに寄って、不忍ブックストリートMAPを置かせていただいてから、leteへ。「加藤千晶の二人三脚」、今日のゲストは寒空はだかさん。

 はだかさんはすごい人でした。どうすごいって「実演を観てください」としか言いようがないんだけど、それだけじゃぼくが今日まで観る機会がなかったのと同じでなかなかその気になれないでしょうし、「おかしくて笑いが止まらないけどそれでいてスマートなんだよ、腹を抱えると同時に灰色の脳細胞も刺激されてるっていうのかなあ」なんて言っても余計わからなくなるだけだし、でもだからといって「ギターの弾きマネをしながら唄うんだよ」というんじゃ却って敬遠されちゃいそう。これがなかなか難しい。

 でもほんと楽しかったです。扉のすぐそばの寒そうな席だったので用心してコートを着たまま観ていたら、笑い過ぎで体がぽっぽしていっぱい汗かいちゃったほど。亡くなった琉球かぶれでイカ釣り名人だったお兄さんの話や、「都営一族」と「営団改めメトロ一族」との地下世界での抗争の話とか、忘れられないです。豊富な知識と鋭い観察力もさることながら、そっからいろいろと取り出してくるセンスが抜群。演芸や音楽に対する造詣も半端でなく、RCの「トランジスタ・ラジオ」を元歌に、さまざまな芸人の物真似をするパートなど、ほんと圧巻でした。

 ただ、これが今回はじめて知りましたというのだったら単にうれしい出会いということで済むのですが、実ははだかさんとはこれまでも面識があったのです。ご近所さんだし、うちの店でのふちがみとふなとのライブにも来てくださっていたし、本を売ってくださったこともあります。自分次第でもっと早くこのステージに触れられたんだよな、と思うと、ちょっと悔しいですね。ですから、もしこれを読んで「好みかも」と感じた方は、ぜひご覧になってください。一番近いところでは、今度の日曜日(27日)、六本木のスーパーデラックスでライブがあります(ゲストもスゴい。柳家三三高田漣)。また、すでにチケットは完売していますが、2月には細野晴臣!と立川志の輔を迎えての本多劇場、というのもあるようです。ほうろうでもいずれ、できたらいいな。

 後半は千晶さんのソロ。弾き語りを聴くのは今日がはじめて。やっぱり複数の人間で合奏する方が千晶さんの曲は映えるなあ、と思いつつも、耳になじんだあの曲この曲がいつもと違って聞こえてくるのは新鮮な体験でした。前半最後の「東京タワーの歌」(♪たわー、たわー、東京タワーにのぼったわー。)と、アンコールでの「カヤバコーヒー」「ぼくは特急の機関士で」(by 三木鶏郎)ではふたりによる共演も聴けたのですが、これがまた最高の演し物。はだかさんはとても良い声をお持ちなのですが、千晶さんとの相性がこれまたバッチリ。ハモっているところは、ほんと耳に心地よかったです。

(宮地)