ミニ堀内誠一展
9月6日まで世田谷文学館で開催中の展覧会「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」<http://www.setabun.or.jp/exhibition/horiuchi/>を観てきて圧倒的な仕事量に吹っ飛ばされました。
長らく温存していた堀内誠一の本を店に並べるならこの機会しかないだろうと、他にも思いつくままに探してみると予想以上に彼のかかわった本が見つかりました。そうですよね、あの仕事量だもの。
先ずは年代順に若い頃の仕事から並べてみました。
『ロッコール』創刊-10号、絵本『くろうまブランキー』、『ぐるんぱのようちえん』、『血と薔薇』(2003年の復原版です)、『an・an』と、亡くなってから出版されたマガジンハウスの本4冊です。(写真をクリックすると大きくなります)
向かって右手上段の見開きになっているのは、『an・an』第259号(1980)、綴じ込み保存版「パリの絵本」に掲載されている地図です。展覧会ではこの地図の原画が展示してありました。ちょっと考えられないような、緻密な仕事です。実際に街を歩かないと書けないような情報も盛り込まれているし、この人は一体どんな早さで仕事をしているんだろうと。しばらく釘付けになってしまいました。この原画は必見です。原画と比べると、印刷物になったときの発色の弱さは仕方のないことなのかもしれませんが、この綴じ込みについていえば、他のものとの紙質の違いもあるかもしれませんが、原画を見たときのハッとする鮮やかさが再現されている気がします。なので、お値段も気合いが入ってしまったのですが。
実は私個人としては、元々は鮮やかな色合いというのが、堀内誠一に限らずあまり得意ではなかったのですが、集中して見ていると堀内作品にはどれも独特の品のよさみたいなものがあって、見ているものにとっては刺激と同時に心地よさになっているような気がしてきました。
世田谷文学館のが終わって翌週の9月13日までは、店頭販売のみとさせてください。少しずつ入れ替えもしていく予定です。
以下は、今回ウインドウに飾ったもの、予定しているものの年譜です。人が何歳で何を成したか気になる今日この頃、なので、それぞれに年齢も数えてみました。(世田谷文学館の展示に合わせて出版されたコロナブックスの『堀内誠一 旅と絵本とデザインと』の年譜から引用させていただきました。)
1932年 | 0歳 | 東京市本所区(現墨田区)に生まれる |
1947 | 14 | 伊勢丹百貨店宣伝課に入社 |
1955-58 | 22-25 | 千代田光学PR誌『ロッコール』創刊〜最終第39号 アート・ディレクション/タイトルロゴデザイン |
1958 | 25 | 絵本『くろうまブランキー』堀内誠一絵、南仏ネフレ幼稚園児作、伊藤三郎訳 |
1965 | 32 | 絵本『ぐるんぱのようちえん』堀内誠一絵、西内南作 |
1968-69 | 35-36 | 『血と薔薇』第1号-最終第3号 題字/アート・ディレクション |
1970-73 | 37-40 | 『an・an』タイトルロゴ 創刊-49号 アート・ディレクション |
1976 | 43 | 絵本『こすずめのぼうけん』堀内誠一絵、ルース・エインワース作、石井桃子訳 |
1980-81 | 『an・an』第242号-289号「パリからの旅」連載 | |
1981-83 | 『an・an』第297号-362号「空とぶ絨緞」連載 | |
1980-87 | 47-54 | 『BRUTUS』タイトルロゴ 創刊-第150号 アート・ディレクション |
1982- | 49 | 『Olive』タイトルロゴ |
1983 | 50 | 『モボ・モガの時代』表紙デザイン |
1987 | 54 | 逝去 |
世田谷文学館の会期も残り少なくなってきましたがぜひお出掛けください。併せてほうろうのミニ展示もお楽しみください。ウインドウに飾ってあるものは、声をかけていただければ、手に取ってご覧いただけます。
(ミカコ)