「一箱古本市わらしべ長者」企画 ご報告(前半戦)

 
 一箱2日目の一昨日、何の予告もなしに突然はじめたお騒がせ企画「一箱わらしべ長者」のご報告です。打ち上げイベントでは南陀楼綾繁氏に「企画倒れの匂いが」と一刀両断され、まあ実際成功したとは言いづらい結果に終わったわけですが、ご協力いただいた店主さんたちへの義務を果たし、感謝を捧げるという意味でも、ちゃんと記録に残しておくのは大切なことかと。


 ちなみに、最初に思い描いていたルールは下記のようなものでした。

  • 最初の1冊は古書ほうろうの100円均一本
  • 全店主を回って交換していく
  • 何と交換するかは基本的には店主さんに選んでもらう(本でなくてもかまわない)
  • 最後に残った本を「ほうろう賞」として、もっとも気に入った箱の店主さんにプレゼントする


では、以下、その楽しくも険しい道のりをごらんください。



店主 交換したもの 著者 版元
- 星三百六十五夜 上下巻 野尻抱影 中公文庫
犀角商店 犀のマークの缶バッチ - 晶文社
アホエク堂 BOOKONN × KEIBUNSHA PRESENTS AHOAHO-EXPO - -
トンブリ 東京オリンピック記念のチェコの切手(開幕日の消印付) - チェコスロバキア共和国
ぶらり文庫 ロンドン土産 二階建てバスのポーチ - -

 最初にどこで交換してもらうか、というのは結構重要だと思っていたのですが、ほうろうの前に出店されている犀角商店さんの箱を見た瞬間にそれは決定。晶文社の犀のマークの缶バッチ。「何と交換するかは店主さんに選んでもらう」というルールをここだけでは破ってしっかりゲットし(その代わり交換する本は十数冊の中から選んでいただき、野尻抱影になりました)、意気揚々と狸坂を上りファーブル昆虫館へ。ここではそれぞれにユニークな店主さんたちが、それぞれにオモシロいものを提供してくださり、何となくわらしべ長者っぽくなってきました。



店主 交換したもの 著者 版元
うさぎや エスクァイア日本版 別冊「Cinema & Fashion」 - UPU
柏舎 産業観光100選 日本観光協会全国産業観光推進協議会編 交通新聞社
ハニカム書房 怪盗ルパン全集『古塔の地下牢』 南洋一郎(ルブラン原作) ポプラ社
雑本堂 日本売春史 小谷野敦 新潮社

 保健所通りを旧安田楠雄邸へ。昨年は庇から垂れる雨で大変でしたが、好天に恵まれた今年はとてもよい雰囲気です。ファーブルの店主のみなさんに「二階建てバスのポーチで女性のハートをゲット」とのアドバイスを受けたので、ここでは着物姿のうさぎやさんからスタート。大家さんでもある柏舎さんではなぜか3冊も並んでいた『産業観光100選』を。会場の佇まいもあるのか、少しずつ渋めの本に交換されていきます。



店主 交換したもの 著者 版元
欠乏書房 「DISKORD」特集:酒と表現 東京外国語大学 映画研究会 -
モンド部 自主CD『ululuと家』 ululu -
ガター&スタンプ 書評王の島 vol.2 豊崎由美責任編集 -
books joujou 四つ足動物の置物(犬?猫?つまむと鳴きます) - -
古本けものみち 石川雅之純潔のマリア』フィギュア good!アフタヌーン」初号限定付録 講談社

 続いてすぐそばの千駄木の郷に移動。ここは今回はじめての会場ですが、木立とベンチのある静かな小径。しかも13時からのテルミン・ライブのリハーサルが行われていて(「サマータイム」のテルミン・ヴァージョンなんてはじめて聴きましたよ)なんともよい居心地でした。到着してすぐに出店者の欠乏書房さんからミニコミの委託販売のご相談を受け、「実はこちらもお願いが」とわらしべ長者の話を切り出すと、「じゃあ」とそのミニコミを提供してくださりました。外語大の映研のミニコミですが、映画のことはほとんど(全然?)書かれてないとか。近いうちにほうろうでも置くことになりました。
 これが呼び水となったのか、この会場での交換はすべてが古本以外のものに。CDだったりすると「ぜひ聴いてみたい」と思うんですが、すぐに交換しなければいけないのがちょっとツラかったですね。あとわらしべには関係ないけど印象に残ったのは、豊崎由美さんが「小説書きたいんならコレ。前田塁前田塁を読みなさい」とスゴい勢いで若い子に薦めていたこと。前田塁のその本『小説の設計図』は、この日別の店主さんの箱でも見かけました。
 さて、結果的に古本けものみちがこの会場最後の箱となるのですが、そのあたりのいきさつも。不在のナンダロウ氏に代って店番中の内澤さんに趣旨を話すと、最初「太陽光線で携帯電話の充電ができる器具」を提供してくださったのですが、「使い方が今ひとつわからない(から次の人に説明できない)」と難色を示すと、「じゃあフィギュア繋がりで」と石川雅之のフィギュアを。でも、これ、モノはいいけどターゲットが狭い、というか少なくとも女子には「これと換えてください」とは言いにくい代物なんですよね。というわけで、千駄木の郷はいったん後にして映画保存協会に向かったのですが、後から考えるとこの辺りがこの企画の分れ道だったようです。この続きはまた明日。

(宮地)