寒空はだかとふちがみとふなと

 ここのところなんだかパッとしない天気で、このまま夏が終わってしまうのだとしたらちょっとあんまりですが、もちろんそんなこととは関係なく暦は進んでいくわけで、そろそろ来るべき秋に向けてギアを入れ直さなければいけません。というわけで、まずは10月にあれこれ予定している古書ほうろうのイベントについて、今日から何回かに分けてお知らせいたします。まずは、こちらから。

いつも能天気~寒空はだか・実況~芸工展2008 参加企画
寒空はだか ワンマンショー 

  • 日時 10月18日(土) 開場19:00/開演:19:30
  • 料金 2000円
  • 予約 古書ほうろうまで(先着順です)

      ・メール:horo@yanesen.net 
         件名「10月18日 寒空はだか
         お名前、人数、当日ご連絡の取れる電話番号を、お書き添えください
      ・電話:03-3824-3388
      ・店頭


 いよいよ、はだかさんがほうろうに登場します。誰あろうぼくが一番楽しみにしていますが、それと同時に、たくさんの人に知ってもらいたい、とくにこの界隈のみなさんに観てもらいたい、という思いが強いです。そのために企画したのですから。でも、じゃあ、はだかさんってどんな人なんでしょう。

 私設ウェブサイト「いつも能天気」の商用公式プロフィールによると、はだかさんはこんな人です。

 うなるクチ三味線、炸裂する真空ギター、歌うスタンダップコミック寒空はだか
 そのキワモノ的な名前に似合わぬシンプルでスマートな立姿。
 紡ぎ出される魅惑の旋律と軽妙洒脱なしゃべりで、ナンセンスな笑いの世界を構築する。
 にっこり笑って毒も吐く。

 さすがに考え抜かれたキャッチコピー。ハイセンスなスーツに身を包み、放課後の小学生のように口でギターをかき鳴らし、アブナいネタを畳み掛けるはだかさんの姿が甦ってきます。ひとつ付け加えるなら、あの独特の声のことかなあ。朗らかなようでいてザラついているんですよね。代表作である「東京タワーの歌」も、歌詞は駄洒落でくだらないと言えばくだらないのですが(♪たわー、たわー、東京タワーにのぼったわー。)、一度聞いたら決して忘れられないあの魔力を支えているのは、間違いなくあの声ですから。ぼくは、冒頭のイントロ(♪パパパパ、スチャーラ、チャチャチャチャ、スチャーラ、チャチャチャチャン、チャラチャチャ)でやられました。もちろん曲自体も素晴らしく、その広くて深い音楽的素養を感じずにはいられないのですけど。真空ギターを弾くのは、楽器ができないからではまったくなく、はだかさんの芸にそれが不可欠だからに違いありません。

 はだかさんの肩書「歌うスタンダップコミック」についても、ちょっとだけ触れておきましょうか。たとえば、はてなキーワードにあたってみると、スタンダップ・コミックというのは「アメリカの、ステージで独りで立ってやるコメディアンのこと」と書いてあって、「その芸のことは、スタンダップ・コメディと呼ぶ」そうですが、本当のところはよくわかりません。たぶん高平哲郎の『スタンダップ・コメディの勉強』を読めばもっといろんことが明らかになるんだけどな、と思っていたら、ある本のなかで、はだかさんがこんなことを仰ってました*1

高平哲郎によれば、コメディは面白く扉を開ける。コミックは面白い扉を開ける。つまり、前者は扉の開け方が面白いんだけど、後者は”このむこうに面白いものがある扉”を開けるんです」


 今回はだかさんをお迎えすることになって、あらためて人の縁ということを感じています。ひとつには共通の知り合いが何人もいたこと。たとえば、ふちがみとふなとのおふたり。はじめてお会いしたのは、ほうろうでの彼らのライブのときでした。それに加藤千晶さん。ずっと気になっていたはだかさんのことをようやく観ることができたのは、千晶さんのライブのゲストとして。あれがなければ、今回のほうろうでのライブはあり得なかったでしょう。その後、うちでの千晶さんのライブにも来てくださって、たしかそのとき「いずれほうろうでも」とお願いしたのでした。あと、活弁士の坂本頼光くんと親しいということも最近知りました。西日暮里に住む坂本くんは古くからのお客さまなのですが、つい2週間前のはだかさんのライブにゲストとして登場したのです。おかげで坂本くんの可笑しすぎる自作アニメ『サザザさん』とも出会えました*2。あとそう、大事なことを。はだかさんもご近所なのですよ。ほうろうにもほど近く、ウェブ上の日記を読むと、この界隈を歩くはだかさんがときどき登場します(「カヤバコーヒーのうた」という名曲もあります)。つい先日は、北島康介選手の金メダルの瞬間を見に文林中学まで行かれたそうで、その光景を想像したらちょっと笑ってしまいました*3。でもね、確かに北島は地元のスターですけど、寒空はだかだって間違いなくこの町が誇っていい、おかしなおかしな人なのです。というわけでみなさん、ぜひお誘い合わせのうえ、腹を抱えにいらしてください。太鼓判押します。


 つづいては、こちら。はだかさんに合わせるように、なんとこのおふたりも!

『ぐるり』プレゼンツ 南陀楼綾繁トーク十番勝負 その6
ライブ&トーク ふちがみとふなとと吉田ハウスレーベルの18年 

  • 日時 10月22日(水) 開場18:30/開演:19:00
  • 料金 予約2000円/当日2500円
  • 予約 古書ほうろうまで(先着順です)

      ・メール:horo@yanesen.net 
         件名「10月22日 ふちふな」
         お名前、人数、当日ご連絡の取れる電話番号を、お書き添えください
      ・電話:03-3824-3388
      ・店頭

 ふちふなのおふたりが、一昨年の夏以来、2年ぶりにほうろうにやってきます。今年はほうろう10周年ということもあって、去年あたりから「ぜひ来年は」とお願いしていたのですが、ニューアルバム『フナトベーカリー』の発売に合わせ、今回は南陀楼さんの連続トーク企画の1回として開催することになりました。南陀楼さんの意気込みはこちらで。ふちがみとふなとは、ふたりの紡ぎ出す音楽そのものの素晴らしさもさることながら、その活動のスタンスもまた魅力的です。今回のトークでは、そうした面、自主レーベルでのCD制作や、人との縁をたどってゆく多彩な会場でのライブなどについての、興味深いお話が訊けるのではないかと、とても楽しみにしています。もちろん演奏の方も期待でいっぱい。シアター・イワトでの全身にオーラをまとった純子さんも記憶に新しいですが、それとはまた違った、ほうろうならではの演奏を聴かせてくださることでしょう。

(宮地)

屋上喫茶階

*1:川口葉子『屋上喫茶階』(書肆侃侃房刊)より。同じページなかで真空ギターについてはこのように説明しています。「エアギターはバックに音楽をながすけれど、真空ギターは伴奏もぜんぶ口でやっちゃう。」

*2:サザザさんは必見の怪作。ぜひこちらを。

*3:4年前は僕とミカコも行きました。詳しくはこちらを。前回は普通の教室だったのが、今回は体育館になったようです。