おいしそうな緑

 昨夏八ヶ岳山野草園で千円で買ったいろはもみじが一気に芽吹いた。八ヶ岳から信濃境経由で一緒に電車に揺られ連れて来たのだが、紅葉を待たずに夏の暑さですっかり葉がちりちりになってしまったのだった。
 棒切れみたいな枯れ枝になってからしばらくたったある日、東京の夏は過酷だったわねと、ふと枝に触れたら、葉は一枚も付けていない細枝から漲る力を感じてハッとした。
 あの過酷な状況で枯れなかったのだから、気を配りすぎるのは良くないと、ほどほどに横目で数ミリほどの小さな芽を観察しながら冬を越した。
 芽吹いたら一気に賑やかになった。

(ミカコ)


旅猫雑貨店 路地裏縁側日記で「月の湯古本まつり・古本市編」の写真がアップされています。やっぱり水場に本が並んでるって、不思議な光景です。