小坂忠、古書ほうろうで歌う


 小坂忠さんがほうろうで「ほうろう」を歌ってから、早くも半月あまり。クリスマスも終わり、とうとう大晦日になってしまいました。本来ならばもっと早くご報告すべきだったのですが、思いが強すぎて、何も書けないまま師走は過ぎ去って行きました。あの日ぼくが感じたことは依然うまく話せそうにありませんが、それでも今日は最後まで書いてみようと思います。


 小坂忠さんにこの店で歌ってもらえたら・・・。それはたしかに夢でした。でも現実にそんなことが起きるなんて、想像したこともありませんでした。ミカコも書いているように、それは「ひょんな偶然が重なって」実現したのですが、もし起こっていなかったとしたら、これから先も自分から忠さんにお願いすることはなかった気がします。忠さんはぼくにとってそういう存在でした。

 ただ、こうして実現した後で考えると、早かれ遅かれこういうことは起こったのかもしれない、偶然ではなく必然だったのでは、とも感じています。なぜなら、こうなることを望んでいたのは、ぼくだけではなかったから。あの日の開演前と終演後、挨拶に立ったステージから見た鈴なりの客席とそこから溢れる熱気が、ぼくにそのことを教えてくれました。それはここに集うみんなの夢でもあったのかもしれない、と。


 あの日、忠さんはMCのなかで何度も「夢」という言葉を使われました。そして、それが「夢を聞かせて」の歌詞とも響き合って強い印象を残すことになるのですが、なかでも「ほうろう」を歌った直後に仰られた以下の台詞は忘れられません。

「こういう夢を持った仲間がいて、こういう場所があって、最高だと思いました。これからもここで、夢を発信し続けてほしいですね。」


 ぼくが「古書ほうろう」という店について思い描いてきたのも、まさにそういうことでした。ぼくだけじゃありません。ミカコも、古書信天翁のふたりも、きっとそうでしょう。古本を売ったり買ったりすることも、さまざまなイベントも、すべてひっくるめて、縁のできた人たちと一緒につくっていく。そんな場所にできたら・・・。あの日ぼくは途中からずっと泣いていたのですが、たぶんそれは、忠さんがここで歌ってくださることが、そんな「夢」の象徴だったからです。



 あと10時間ほどで今年も終わります。「羽鳥書店まつり」「高山宏 meets 水族館劇場」「小坂忠、古書ほうろうで歌う」と、大きなイベントが重なった年でした。どれひとつとっても自分たちだけではとても成し遂げられなかったし、数年前だったら企画段階で諦めていたかもしれません。それがこうして実現したのは、多くの方々の助けがあったからです。

 今回のライブのきっかけをつくってくれた一人である山口洋さんは、「これは彼らがメゲずに続けてきたことへのギフトだと思う。」と言ってくださりましたが、その贈り物は、忠さんが来てくださったことだけでなく、忠さんを迎えるために集まった仲間たちのことでもあると、ぼくは思っています。


 みなさん、本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしく。よい年をお迎えください。
(宮地)

セットリスト

 第1部
  木枯らしの風 / In the Bleak Midwinter
  ふけゆく野原の / 聖歌125
  たがいに喜び / 聖歌128
  さやかに星はきらめき / 讃美歌2編219
  山の上から / Go Tell it On The Mountain
  きよしこのよる / 讃美歌109


 第2部
  夢を聞かせて
  I Believe In You
  Hard to say(偶然と必然の間)
  ふたりの理由、その後
  機関車
  ほうろう
  クリスマスベル


 アンコール
  What a Wonderful World


*ライブ当日を中心に、みなさんのツイートをまとめてみました。

http://togetter.com/li/79363

 忠さんが「古書ほうろう」という名前を初めて耳にした、ちょうど一年前の横浜サムズアップまで遡っています。多少長いですが、ぜひご一読ください。


 また、以下のみなさんのブログも、あわせてぜひ。
 スタッフやお客さまとして、あの場にいらした方々です。
   谷根千ウロウロ 
   「へのさん」の本でいっぷく 
   DOWNTOWN DIARY 
   昨日の続き


 そして、すばらしいギターを聞かせてくださった、西海孝さんのブログも。
   今日もシウマイ弁当が好き。