月の湯と秋も一箱

 怒濤の二日間。なんとか完走、ようやくアルコールもぬけてきました。

 月の湯ははっきりしない空模様でゆっくりとした出だしとなったことが逆に殺気立った感じにならなくてよかったです。古本市のスペースを前回よりも広げたこともあり、ゆったりと本が見やすくなっていました。
 カフェスペースは男湯洗い場全部を使い、月の湯おかみさんチームの手づくり揚げせんべい、かえる食堂のおいしいお菓子、乙女湯のたしなみさんのお茶、ビール、缶酎ハイなどなど、よりどりみどりのメニューが勢揃い。
 湯のはってない湯船はPippoさんのゲームコーナー、ウミウシの釣り堀と化し、驚喜する子どもたちで賑わいました。
 チャイの一鍋目を終わらせ、正午をまわったところでアルコール解禁にして、缶ビールを飲みつつチャイを売ったり、古本市を覗いたり、昼間の陽が眩しい高窓を仰ぎながら銭湯での贅沢至極な時間が過ぎてゆく。武藤さんにほうろうさんが一番買ってるよといわれるくらい飲んでたみたいです。
 売上げは、古本は前回割れ。萬福亭チャイは、古本にちょっとだけ勝ちました。旅猫雑貨店の金子さん、カフェ隊長の武藤さんをはじめ、わめぞのみなさまどうもありがとうございました。今回も楽しい一日でした。

 雨が怖かった一箱は、青秋部の忍耐といってもいいくらいのがんばりが天に通じて二重丸の秋晴れ。なのに生姜をすりおろしていたら集合時間に大幅に遅れてしまった。チャイを作るのは鍋ひとつなのになんだか荷物が多い。先に出た宮地に半分託し、残りを自転車の荷台とリュックにつめて、ふらふらと出発。
 ほうろう店番の日でもあるので午前中は宮地が古本市をまわっている間を店で過ごし、1時過ぎに光源寺へ。暑いくらいの晴天、賑わっている境内で開店準備。みなさんいい感じに店を作っていて参考になるなぁ。隣のヒナタ屋さんによると無人の販売台に置き去りにしていたうちの鍋が大変な人気だったらしい。タミゼっぽかったのだろうか。いっそ鍋だけ売った方が儲かるのか、とか考えてみたり。
 準備を始めていると光源寺のご家族が応援に来てくだる。とてもありがたく心強い。この日のために見た目重視で買った私のアウトドア用コンロでは沸くまで時間がかかりすぎてしまうので、急遽コンロまでお借りしてしまった。
 一鍋目の味見が済んで、楽しみにしていたヒナタ屋さんの生姜たっぷりのジンジャーエールを。癖になる味。
 途中ペルパナスのIrie夫妻も駆けつけてくれて、獣医のIrie妻は急遽お寺の猫の診察を。チャイ屋の背後で医学用語が飛び交うというのも愉快な光景だなとひとり笑い。
 手際の悪い私の横から光源寺の奥様の神のような手が(お寺なのに神は変か)、ササッと助けてくださり、準備していた分が2時間ほどで売り切れとなりました。

 二日間、来てくださったみなさま、本当にどうもありがとうございました。自分であれこれ試して決めた味でお金をいただき、おいしいといってもらえた時はほんとうに嬉しいです。
 しかし実は最後の鍋、砂糖を入れ忘れていたことが後になって発覚。どうも今回はみなさんお砂糖を持っていかれるなぁ、とのんきに思っていたら。大変失礼いたしました。まだアルコール入る前だってのに。

 で、一箱では打上げまで自分的禁酒にしていたせいか、打上げでビールから酎ハイに変えたあたりから、記憶がちぎり絵のようになり。
 今日電話で話した青秋部Nさんによると、私の投げた雑巾がブーザンゴさんに命中したらしい。もちろんわざとじゃないです。ごめんなさい。
 今、昨日の荷物の後片付けをしていたら、大切にしている麻のカフェエプロンが、ゴミ袋に突っ込んでありました。あぁ、自分。
 みんなの記憶を繋ぎ合わせるのが恐ろしい。

(ミカコ)


〜大事な追記〜
 これを書かなきゃ。水族館劇場は来年も公演が決まりました。
 今回の古本市では、今年のNoir 『永遠の夜の彼方に』の野外セットだった銀杏堂写真館を残しておいてもらって、そこに一日だけではもったいないような日本物怪観光(ニホンモノノケカンコウ)さんの『物怪図書館』が入ったのでした。時を隔てた見事な共演でした。
 そしてついに銀杏堂も一箱が終わって、水族館劇場の方たちの手によって解体されたのでした。