それでも引越したいか!

不忍ブックストリート」を始めてから、毎年4月は怒濤の忙しさなのである。もう3年目なので、それはよく心得ている。
 あれは先月のこと。日頃の鬱屈のはけ口に取り憑かれたように夜中のネット物件検索を繰返し、気になる物件を見つけてしまった。宮地とふたり休みの日に、これもストレス解消、レジャーだと称してデズニーランドに行くような気分で内見に行ったのだった。
 そのひと月前のレジャーは縁側付き物件で、ネットの写真を返す返す眺めていた宮地に「ぼく猫を飼う。」とまで云わせた物件だったが、実際は恐ろしい代物だった。
 今回もネットの写真はよく写ってたけど、先例があるし、全く期待していなかった。これから「一箱」なんだし、引越してる場合じゃないから。
 しかし玄関の引き戸を開けると上がり框。あら、なんだか迎えられてる?わたしたち。ベランダも庭も無いのだけど、2階の6畳は休日の日向ぼっこビールにうってつけだった。
 これまでいろんな部屋を見て来たが、ふたり揃って気もそぞろなのは初めてのことだった。いい物件は待ってくれないよねー、とどちらからともなく云い始め、次の週には引越しを決めていた。
 これから「一箱」だってゆうのに、すみません、今週引越しします。
(ミカコ)