『雲遊天下』にナンダロウアヤシゲのはじめてのみせばんの顛末記


ビレッジプレス『雲遊天下』 107号
525円(税込み)

もうひと月以上経つのですね。はやいなぁ…。
8月1日発売の『雲遊天下』の南陀楼綾繁さんの連載に、7月の「ナンダロウアヤシゲのはじめてのみせばん」顛末記が掲載されています。
ナンダロウさんと古書ほうろうの関わりや、震災のあとの仙台のブックイベント「Book!Book!Sendai」をはじめ、仙台、盛岡、会津、秋田をつなぐ「東北ブックコンテナ」に参加してきたこと、「一箱本送り隊」のことなど、店番をお願いしてからのことなどが書かれています。
文中でも触れられていますが、ほんとうに「店番」は実現するのか、と途中何度も気が遠くなりました。今だから打ち明けますが、さいごのさいごに、一緒に店番をしてくれたイラストレーターの武藤良子さんにわたしは泣きのメールを入れました。それほど、南陀楼さんとの間には暗雲が立ち籠めていました。(笑)
これまでナンダロウさんが企画するイベントをいろいろと見聞きしてきて、その企画力はほんとうにすばらしいと思っています。会場である店としても、客としても多くのことを教えてもらっています。
でも今回はそれを抜きで、手ぶらのナンダロウさんに、閑な時間もあり、お客さまが来てくださって、欲しい本を買ってもらって、お金を戴く、といういちばんシンプルな部分を、イベントを企画する同じ仲間として、共有出来たらいいなと思っていました。「店」にとっての日常で、いちばん大切でたのしい部分だと思っています。
ナンダロウさんと武藤さんが店番をしてくれたことは、ダイレクトな刺激があったことはもちろんですが、前進してるんだか、迷走しているんだか自分たちでも解らないうちの店にとって、今後のための舵の微調整となったと思っています。


『雲遊天下』今号の特集は「うたがうまれるところ」です。冒頭を飾るのは南陀楼綾繁さんによる二階堂和美さんのインタビュー「歌からにじむもの」です。
二階堂和美さんといえば、上野の水上音楽堂で開かれたwindbell主催のイベントで思いがけず目の当たりにして度肝を抜かれたことは、何年経っても記憶に生々しく、はかり知れない才能を持て余しているような少女っぽさと、故にか受ける半ば捨て鉢な印象が、なんとも不安定で、眼が離せない、これからこの人はどんなふうになってゆくんだろう、と自分までもがざわざわした心持ちで彼女のスキャットを聴いたことを憶えています。
私にとってそんな初印象の二階堂さんが、自分で作詞をするようなった経緯や、広島の浄土真宗のお寺である実家に戻り家族と生活をともにするようになり、僧侶としての自分や、歌をつくる人、歌う人として、才能や溢れる想いを少しずつかたちにしているのがとてもよく伝わってきました。新譜『にじみ』も早く聴かなくちゃ。

(ミカコ)