タイコウチさんを紹介します! 「Book! Book! Sendai」とスクィーズと『海炭市叙景』

 先月参加した「Book! Book! Sendai 2011」一箱古本市から、早くも3週間が経ちました。

 たくさんの人にお会いし、さまざまなことを話した、楽しく稔り多い2日間でしたが、以前からその文章を愛読してきたお二人、えのきどいちろうさん、タイコウチさんとお目にかかれたことも、予想だにしてなかっただけに、うれしいできごとでした。


F党宣言!---俺たちの北海道日本ハムファイターズ!
 えのきどいちろうさんについては、ぼくがあらためて紹介する必要などないですよね。昨年末に出た『F党宣言! 俺たちの北海道日本ハムファイターズ!』もそうでしたが、あるチームを応援し続けることの歓びを、こんなに感じさせてくれる方はいません。そんなえのきどさんと、「一箱古本市の箱」を挟んで、大宮公園サッカー場や「スカパー! ワールドカップ・ジャーナル」の話ができたのは、本当に幸せでした。
 じつは、えのきどさんは店にも来てくださったことがあるのですが、そのときは全然お話できませんでした。緊張してしまったせいもあるのですが、古本屋の店主という立場だと、面識がない人に無闇に話しかけるのは憚られて。それが、今回はごく自然に会話ができ、一箱古本市という場の持つ力を再確認することとなりました。「古書ほうろうには、大宮アルディージャのファンの人がいるよね」と話しかけてくださったことは、忘れられません。


 もうひとり、タイコウチさんとお会いできたのも本当にうれしくて、このエントリは、その喜びを伝えるために書いています。

 タイコウチさんは、仙台での一箱古本市には毎回出店されている店主さんで、屋号は「たいこうち書店」。2008年秋に行われた「Book! Book! Sendai」最初の古本市にも参加され、magellan賞を受賞されているので、仙台のみなさんにはすっかりお馴染みだと思います。

たいこうち書店

文学、音楽、映画、文化、思想…すべてにおいて半可通な私の本棚の奥で眠るより、心あるあなたの手の中で豊かな第二の人生を送ってほしい。なんてことを書いて古本市に参加させてもらうのも、もう4回目となりました。


 本、仙台、といった文脈で紹介すると、タイコウチさんはこんな方なのですが、ぼくが以前から存じ上げていたのは、熱烈なスクィーズ・ファンとしての顔。スクィーズは、音楽好きなら名前ぐらいは聞いたことがあるに違いないイギリスのバンドなのですが、タイコウチさんは、そんな彼らの曲やニュースを紹介する「SONG BY SONG」というブログの寄稿者で、ぼくはその文章と訳詞を、この5年近くずっと読んできたのです。スクィーズを聴きはじめて、はや四半世紀。彼らを愛することにかけては、ぼくも人後に落ちないつもりですが、タイコウチさんは別格。実際にお目にかかるなんて考えたこともなかったのに、それが同じ一箱古本市の店主としてあの場に居合わせるなんて! 打上げの席では、本や音楽の話を心ゆくまで交わし、あらためて尊敬の思いを深めました。

 今回は、タイコウチさんの方から「ほうろうさんはスクィーズがお好きなんですよね」と話しかけてくださったのですが、そのきっかけをつくってくれたのは、「SONG BY SONG」の運営者でもある、THE MUSIC PLANTの野崎洋子さん。THE MUSIC PLANTは、ヨーロッパの伝統音楽のミュージシャンを日本に招聘するかたわらCDの輸入もされていて、当店でも取り扱っています。そんなこともあって以前ブログで紹介いただいたのを、タイコウチさんがご覧になったというわけです。


 さて、ここからがいよいよ本題なのですが、そんなタイコウチさんと野崎さんが、この5月から「気ままにBOOK TALK」というブログを始められました。お二人が、好きな本、映画、音楽について交換する往復書簡なのですが、そこにタイコウチさんが書かれた、佐藤泰志海炭市叙景』についての文章が、あまりに素晴らしいのです。

「気ままにBOOK TALK海炭市叙景(3)
 http://www.ourbooktalk.com/2011/07/blog-post.html

海炭市叙景』と、スクィーズの『EAST SIDE STORY』という、双方に通じている人などほとんどいない作品を取り上げながら、決して内輪な話に陥ることなく、それぞれの作品の本質と共通点を浮かび上がらせていることが、お読みになった方にはおわかりいただけると思います。佐藤泰志ファンは『EAST SIDE STORY』を聴いてみたくなり、スクィーズのファンは『海炭市叙景』を読んでみたくなる文章で、そんな方が一人でも増えるといいなと思い、久しぶりに告知ではないブログを書きました。
(宮地)
海炭市叙景 (小学館文庫)
イースト・サイド・ストーリー(紙ジャケット仕様)