Twitter/野島康三/洞口依子/ 鎮西尚一

 今日は非番。丸一日時間が空くことはなかなかないので、早起きしていろいろ観てきました。

 どれも素晴らしく、認識を深めたり、愛を再確認したり、未知の作家に出会ったりと、楽しく有意義な時間でしたが、このラインナップ、じつはTwitterの影響がとても大きかったのです。以下そのことを。


 Twitterをはじめて1ヶ月余り、あっという間でした。こんなにハマるなんてまるで想像できませんでしたが、もうズブズブであります。この新しい「おもちゃ」のどこが優れているのかについては、始めて間もない頃にも一度書きました。ざっくりまとめると「仕事の合間に見つけた小ネタを紹介しやすい」「古本屋の実況中継ができるのでは」ということで、つまり「アウトプットするのにとても便利だ」と。その印象は今でも変わっていません。

 変わったのはインプットの方。当初はあまりたくさんの人の「つぶやき」が入ってきてもどうせ読めないし、と、フォローは知り合いやどうしても読みたい人に限っていました*1。そして、それでも十分楽しかった。なかでも同じ古本屋を生業とするみなさんの日常を知るのは、とても刺激になりました。それがある時期から、面識のない人も少しずつフォローするようになっていきます。きっかけはこの「つぶやき」

 買い取りで入ってきた杉田敦『白い街へ』(彩流社)のことに触れたら、未知の方が二人、すぐにリアクションをくれて、それでなんか目から鱗が落ちたんですよね。それからは面識のあるなしにはこだわらずに、自分の好きなことを自分よりも知っている人、守備範囲は違うけど肌の合いそうな人、同じチームを応援する人、生活圏が近い人などもフォローしはじめたのです。


 今日観たものも、そんななかで知りました。まあ洞口依子については自分でも大プッシュしていたわけですが、野島康三と鎮西尚一については、つい3日前まではそんなつもりまったくありませんでした。でも、毎日その「つぶやき」に接し勝手に親近感を持っている人たちが、「ここぞ」と気合いを入れて推しているのを読んで、足を運んだのです。


 野島康三の写真展に行くのは今回がはじめてだったのですが、確かに本になったものではこの美しさは伝わらないと思います。写真の技術についてはまったく疎いのですが、ゴム印画、ブロムオイル・プリントの魅力について認識しました。もっともインパクトがあったのはトリミングされた細川ちか子の肖像。成瀬巳喜男の作品でしか知らなかった女優さんですが、大いに印象が変わりました。
 松濤美術館で今週の日曜日(15日)まで。天皇陛下御在位二十年だとかで、入場は無料です。


 そして鎮西尚一。今日を逃したらたぶん一生観ないままだったでしょう。名のみ知る監督の12年ぶりの新作。きちんきちんと挿入されるカラミのシーンがかろうじてピンク映画だということを思い起こさせますが、淡々と流れる物語のなかに美しい映像が溢れかえる傑作でした。「ピンクにしては傑作」ではなくて、ただただ「傑作」。宇波拓の音楽がまた絶品で、映画館を出てからずっと口笛吹いてました*2
 浅草世界館にて17日まで。19時からの回なら800円で観られます。紹介してくれたモルモット吉田さんのブログもぜひ。

 あと、これは余談ですが、ほとんど前知識なしで出かけていったこの作品、なんと旧名葉月蛍さんが出演されてました。水族館劇場を辞められて以来まったくお会いしてないのですが、思わぬ再会。劇中、彼女が恋人と暮らす家に雰囲気があり、とくに屋根の上で幸せそうに寝転ぶ男の横に、窓越しにほたるさんが豚の蚊取り線香を置く場面は素晴らしかったです。


 長くなってしまったので、洞口依子についてはいつかまた。見終わったあと「どうして宮崎あおいに惹かれるのかがわかった」と思いながらロビーに出ると、宮崎あおいからの大きな花束が飾ってありました*3。『君は裸足の神を見たか』の上映はもうありませんが、映画祭自体は20日まで開催中です。

(宮地)

*1:どうしても読みたい人の筆頭は、長い間そのブログを愛読しているトライさんのものでした。メールのやりとりのみで直接の面識はない方なのですが、前にも一度日々録で紹介させてもらってます

*2:この人がいましろたかしのファンであることを最近知って、うれしくなりました。詳しくは、こちらこちらを。

*3:矢作俊彦からのものも当然のようにありました。