うれしい便り、古本屋の喜び

 一昨日は文庫本を昨日はハードカバーを、それぞれまとめて出しました。そして今日は定休日恒例の棚の整理。まったくもって先週と同じことをやってるわけですが、それこそがバンバン品出ししている証し。本当はもう少し様子をみたい本についても、どんどん均一棚に移していますので、お近くにお越しの際は覗いてみてください。

 さて、毎週こんなことばかり言っていると「しばらく売れないとなんでも安くしちゃうんだ」と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。そもそも自分にとって大切な本はちょっとやそっとじゃ値下げしないのですが、それと同時に「値下げのしどき」というものがあって、それを逃すと愛着が深まって簡単には下げられなくなってしまうのです。棚を見るたび「ああ、なかなか売れないなあ」とは思うものの、その度に「意地でも値下げしないぞ」となっちゃう。お客さんの立場からすれば安いに越したことはないし、こっちも売ってナンボ。でも「この値段でも喜んで買ってくれる人に売りたい」という誘惑からはなかなか逃れられないんですよね。

 とまあ、なんでこんなことをもったいぶって書いているかというと、つい最近そんな一冊がようやく売れたから。『ON記録の世界』という本で、ずいぶん前に書いた日々録を見つけてくださったお客さんの手に渡っていきました。出したのはもう6年も前。こんなに素晴らしい本なのにどうして売れないんだろうと、長い間棚を見る度に首を傾げてきたのでもう大喜びなのですが、昨日はこんなメールまでいただいてしまいました。

週末、この本を読みふけっていましたが、すごい本で感動しました。
今回入手できたことを大変うれしく思います。


 探している本をネットで検索してうちの店にたどり着き購入される方はたくさんいらっしゃいますが、こんな風に感想が送られてくることは滅多にありません。それだけでも大変ありがたいことですが、でも、いちばんうれしいのは、自分が売値というかたちで託した気持ちを、このお客さんが受けとめてくださり、結果この本とその著者である宇佐美徹也さんへの敬意を分かち合えた、ということです。だって、本当に「すごい本」なんですもの。
(宮地)