「イワト」6号


「イワト」の最新6号、入荷しています。今回は、なんと、ぼくの文章も載っけていただいているのですが、これが晴れがましいやら気恥ずかしいやらで、なんとなく紹介するのが遅れてしまいました。

 平野甲賀、公子ご夫妻が毎号こつこつとつくってらっしゃるこの小さな雑誌に自分が寄稿するだなんて、それだけでもずいぶん身に余ることなのですが、にもかかわらず、原稿依頼を受けたときまっ先に思ったのは「甲賀さんに古書ほうろうという描き文字をつくってもらえる!」という、些かはしたないものでした。でも、これがどのくらい幸せなことか、平野甲賀ファンなら誰だっておわかりになりますよね。遡ること四半世紀、小林信彦の『超人探偵』ではじめて「装幀:平野甲賀」の本を手に取って以来、はっきりとその名を意識するようになった『ぼくたちの好きな戦争』から数えてもかれこれ20年ばかり、ずっと甲賀さんの大ファンを自認してきましたが、まさかこんな日が訪れるなんて。実際に納品されたこの号のページを開くときは、それはもうドキドキしました。ほうろう続けてきて、ほんとよかったです。肝心の文章の方は「古書ほうろうと町の関係を」とのことでしたので、そういう内容のものを(出来はともかく)気合い全開で書きました。お買い上げの上、読んでいただけれるとうれしいです。

 と、舞い上がって自分のことばかり宣伝してしまいましたが、もちろん、ほかのみなさんの文章もいつも通り盛りだくさんであります。個人的には、甲賀さんが草森紳一の想い出を記した「お見立て」と、小日向知子さんの創作「かえるのうた」が印象に残りました。あと、この号について声を大にして言いたいのは、今井次郎さんによる表紙の絵。一度目にしたらちょっと忘れられない、不思議な裸婦?です。本文中にちりばめられたカットともども、とくとご覧ください。今井さんは「時々自動」という演劇集団の方だそうで、来年1月にはシアター・イワトでも『うたのエリア-1』なる公演が行われます。「20世紀現代音楽の作曲家を取り上げる音楽演劇」とのことですが、ポスターの絵から判断するとどうやらメシアンを題材にしたものになるようで、これはちょっと観て(聴いて)みたいですねえ。

(宮地)