本秀康とアルファベットの謎

 尾久図書館でのアルバイト。図書館で働いていると、自分の興味とは関係なく大量の本を手にするので、しばしば守備範囲外の発見があります。今日は、児童書の部屋、ヤングアダルトのコーナーで、こんな本を見つけました。鯨統一郎が10代向けに書いた探偵ものなのですが、この手のものは古本屋的にはわりと盲点ですね。あまり入ってきませんし、稀に棚に出す機会を得ても売れづらい。数年前から講談社が気合いを入れて出している、凝った装幀のミステリーランドのシリーズもさっぱり動きません。まあこれは、またちょっと対象が違うのかもしれないけど。 

 鯨統一郎は、デビュー作の『邪馬台国はどこですか?』がとても面白くて、今でもその名前には良い印象を持っていますが、でもそれ以来なぜか読むことはありませんでした。当然追っかけているわけでもなく、だからこの『ABCDEFG殺人事件』のことも全然知らなかったのですが、それゆえに、この表紙を見つけたときはうれしかったですね。表紙以外にも各章の扉にアルファベットにちなんだ挿絵が描かれていて、本秀康ファンは必携でしょう。読むのが楽しみです。
(宮地)