いざ鎌倉!ぐるり銭ゲバ、Wの悲劇


 昨日書ききれなかった一箱初日レポート、まずはこの写真から。
 助っ人のSさんご夫妻が差し入れてくださったお菓子「いざ鎌倉」です。曰く「助っ人の心意気をあらわしてみました」とのこと。一箱当日はなかなか食事をする時間をとれないので、そういう意味でもありがたいのですが、何よりこの心意気が沁みますねえ。ひとたびことが起きると必ず馳せ参じてくださるSさんには、毎年お世話になりっぱなしなのですが、今年も5月3日、旧安田楠雄邸で専従スタッフをしてくださります。



 では、印象に残った箱のことも少々。昨日紹介したカリプソさん以外では、まず「ぐるり古本部」
 今年、ぼくは店主さんの申し込み受付を担当していたので、その屋号とPR文を誰よりも早くひと通り読むことができました。基本的には「これこれこういうものを出します」というタイプがもっとも多く、実際わかりやすいのですが、なかには「なんじゃこりゃ」というものも。「ぐるり古本部」はその最右翼だったのですが、ちょっと引用してみましょうか。

情報誌『ぐるり』編集部から参加します。部員一人の古本部です。今年は銭ゲバ銭ゲバでいきます。『銭ゲバ』を売るわけではありません。

 どうです?これを読んだらちょっとのぞいてみないわけにはいかないですよね。で、さっそくオヨヨ書林へ行ってみると・・・。いやあ、銭ゲバでした。まず目についたのが、『プレイガイドジャーナル』の創刊号からの揃い*1。そして、安部慎一『美代子阿佐ケ谷気分』。ほかにもお宝がザックザクなのですが、値付けが銭ゲバ。でも「全部売れたらこんなにお金が入ってくる」と考えることも(それが第一ではないにしろ)一箱古本市の楽しみですから、これもひとつの王道。何も買えませんでしたが、楽しませていただきました。

 オヨヨ書林前では、助っ人もしてくださっている「やまがら文庫」さんも出店。こちらは「本のヤマがカラになるまで売ってみたい」ということで、とてもお値打ちな価格設定。かなり渋い雰囲気の箱だったので、よいお客さんに巡り会えることを願い、景気漬けに三遊亭円丈の『名古屋人の真実』をいただきました。100円なり。この本のいわれについてはこちらもぜひごらんください。


 屋号ということなら、アートスペース・ゲントに出されていた「W(ダブリ)の悲劇」さんのことも書いておかないと。

持っているにもかかわらず(あまりに安かったから? 珍しいから? 愛情ゆえに?などなどの理由で)ついつい買ってしまった、自宅の「W(ダブり)本」を中心に、古本屋さんの軒先でトクした感じを味わえる品揃えを目指しています。主に文芸書、映画芸能関係書、随筆集などを出品の予定です。

 以上のようなPR文そのままの、ほんとお得感のある箱で、特に文庫によいものがたくさんありました。しかも、終了30分前には「いまから全品200円ですよ!」のかけ声が。ちょうどその場に居合わせたのですが、一瞬箱の前に列ができましたもの。ぼくも閉店ギリギリまで待って、残っていた『わが荷風』(野口冨士男)と『残されたる江戸』(柴田流星)をいただいたのですが(それぞれ中公文庫)、よく見てみると元々のお代も300円だったりと、ほとんど変わらないんですよね。価格設定よし、売り方も上手、ということで、結果的に売上点数が一番多かったのも当然というわけです。箱の前に展示してあった、薬師丸ひろ子の『Wの悲劇』のピンナップ?も、いい味を出していました。
 


 さて、昨日は一日限定の一箱古本市week参加企画もいくつか開催されていたのですが、「絶対に行くぞ」と決めていたのが、レプロットさんで行われた「おとえ」。わめぞの誇る絵師武藤良子さんと、毎年助っ人として協力してくださっている「音の台所」の茂木淳子さんとのコラボレーション企画です。武藤さんの絵をみて浮かんだ言葉を伝えると、茂木さんがそれをもとに音楽を選んでくださるというものなのですが、ぼくが聴かせてもらったのはカバレフスキーソナチネ第1楽章でした(浮かんだ言葉は「目玉」)。実際にそれが自分のイメージと合致するかどうかは別として、こういうかたちで未知の音楽に触れられる、というのは面白いなあ、と思いました。記念にいただいた栞もシャレていて、うれしかったです。

 あと、毎年いろはに木工所そばの屋代美術前に現れる「へそまがりほんや とく」さんが、今年は一箱古本市week参加、というかたちで出店。今回はじめて拝見しましたが、値付けのメリハリが絶妙。まとめて入荷したらしい、SFマガジンのバックナンバーとアコーディオンの楽譜、あと落語など芸能関係のもの以外はすべて100円圴一という潔さ。「ほうろうさん、抜いてってください」という言葉にも後押しされ、あれこれ購入しました。写真は、唯一500円出して買った、外国のアコーディオンの楽譜。実用という点ではあてはまったくないのですが、店の音楽の棚に飾ってみたいな、と。



 最後にご覧いただくのは、花歩さんの前で会った谷根千工房のヤマサキさんに見せていただいた「谷根千賞*2の表彰状。サトちゃん入魂の作であります*3
(宮地)

*1:何年分だったかは失念しました。

*2:受賞されたのは「箸休め」さんでした。

*3:これは表紙&裏表紙で、反対側が表彰状の本文になっています。せっかくの作品なのに写真もコピーもとってないとのことだったので、とりあえず撮っておきました。