加藤千晶アップップリケショー

 15時頃、トラブルへの応急処置がようやく終わり、応募自体も減ってきたので、いったん切り上げることに。不具合の原因については、ぼくがいくら考えても埒が明かないですしね。ミカコとふたり、出かける支度をして、いざ吉祥寺へ。今日は加藤千晶さんのアップップリケショーの日なのです。


 公園口を出てわりとすぐの雑居ビルの4階にある「yucca」でまずは腹ごしらえ。ここは、谷中芸工展で毎年お世話になっている村山さんの、お嬢さんのお店。エレベーターに乗ると、すぐにむせかえるようなスパイスの香りが。そう、ここは、カレーが自慢のカフェなのです。そして実際いただいたチキンカレーのおいしいかったこと。まったく分析はできませんが、堪能しました。
 あと、この店のもうひとつの特色は、舶来の絵本がたくさん置いてあること。1冊良いのを見つけましたよ。Ota Janecekという人が絵を描いた『Pocitadlo』という作品(文は、Frantisek Halas)。綴りからするとチェコの人のようです。子どもに数字に馴染ませることを目的としているんだろうけど、数字と一体化した鳥の絵が、ほんとかわいい。


 18時過ぎ、友人と駅で待ち合わせるミカコといったん別れ、寸暇を惜しんでディスク・ユニオンへ。時間があれば各館ゆっくり回りたいのだけど、今日はクラシック館へ直行。先日の名古屋でまたスペイン・モードに入っていて、ファリャの面白い盤が何かないかな、と。
 ありましたよ。もう、7、8年探し続けていた、アルヘンタ晩年のパリでのライブ、ベルガンサとの『恋は魔術師』と、ゴンサロ・ソリアーノとの『スペインの庭の夜』を振ったやつが。とは言っても、イタリアのマイナー・レーベルからずいぶん前に出たという盤ではなく、つい1週間ほど前くらいに再発された新品でしたが。でも、こういうのは見つけたときに買っとかないとすぐなくなっちゃうし、そっち方面に気持ちがいっていないときに発売されたりしたら、見かけることなく消えていきますからね。流れはこっちにきてる。

  
 あわててMANDA-LA2に向かうと、ちょうど入場がはじまったところ。いつものように生ビールをぐびぐび飲ってるうち、開演。今日はいつもとは趣向を変えて、ピアノ、ギター、ベース、ドラムに、マリンバ、という5人編成。またそれとは別に、これまでとは逆の右側の客席に座ったため、音の聴こえかたがずいぶん違う。最初は頭の後ろから千晶さんの声が落ちてくる感じに違和感を感じたのだけど、慣れるに従って、同じレコードのミックス違いを聴いているような気になってくる。編成が小さいせいもあるのだろうけど、いつもは聞こえない音を耳が拾うので、細部へ細部へと意識が向かう夜となりました。鳥羽修さんの弾くギターの音が、たびたび女声コーラスのように聴こえたのだけど、あれはぼくの錯覚かなあ。
 あと、やはり座席の関係で、高橋結子さんのドラムを心ゆくまで味わえたのも収穫でした。バランスは悪いのだけど、その分よく聴こえるし、よく見える。結構手を使ってるんだ、とか、持ち替えはほんとギリギリだなあ、とか、いつも遠目に見ているときには気がつかなかった発見がいろいろあって楽しかったです。この人はコーラスのときの声がまた良いんですよね。「マカロニスコープ」とか、ついつい一緒になってハモると、ミカコに嫌な顔をされるけど(笑)。
 千晶さんは、いつもよりも緊張しているというか、気が張ってるというか、そんな感じで始まったのですが、途中からはノってきて、あっという間の2時間でした。

 
 さて、「古書ほうろうはともかく、岡崎武志さんや、南陀楼さんも好きみたいだし、機会があったら一度聴いてみてもいいかなあ」とお考えの方にお知らせです。今日入場の際にもらった束のなかに、次回のライブのチラシが入っていました。



詳しくは、明日の日々録で。

(宮地)