ぐるり 2008/2月号 <特集>友部正人


 おととい、編集長の五十嵐さんが最新号を持ってきてくださりました。毎号恒例の田川律による巻頭インタビュー、今回は友部正人さんです。

 旧知の間柄のふたりによる、のんびりとした会話が13ページ分。マラソンから、おじいちゃんになった感慨まで、話は脱線しながらあちこちに及ぶのですが、一番面白かったのは、うたの歌詞についてのくだり。「発音して意味が他の言葉と間違えられやすいものとかは避ける」という話題の最後の方を、ちょっとだけ引用します。

友部 熟語とかを多用するのは歌向きではないよね。でも、はっぴいえんどとか結構難しい熟語とか使っていたよね。
田川 ああ、そうだね。
友部 耳で聞いたら何のことか分からない。
田川 うん。ただ、それは別々だから。松本隆はうたわないじゃない。
友部 うたわないの、あの人?
田川 うん、全然うたわないよ。さすがに誰もあの人の歌は聴いたことないんじゃないの。
友部 なるほどね。自分でうたわないからか。

歯車とスモークドサーモン
 友部さんのこういうところって、とてもチャーミングですよね。ほかにも会話の端々までその人柄が伺える、楽しく読みでのあるインタビューです。3月に出る新しいアルバムについて、ほとんど触れられていないところもまた、そこに流れるゆったりとした雰囲気に一役買っているのかもしれません。

 ほかにも、渋谷毅のインタビューや南陀楼綾繁さんの連載、そしてもちろんこの雑誌の骨幹である中央線沿線を中心としたライブのスケジュールなども載って、300円ぽっきり、と大変お買い得です。ぜひご一読を。
 
 あと、五十嵐さんには、先月、東小金井の「ザ・チャンプルー海風」でおこなわれた、山口洋さんとリクオのライブの話を伺いました。小川美潮がゲストというのがとても意外で(ジョニ・ミッチェルの「コヨーテ」を共演したそう)、どういうつながりなんですかね、と訊くと、「昔レコード会社が同じで、洋さん、デビューしたばかりの頃、美潮さんにいろいろお世話になったらしいよ」とのことでした。そっかあ。確かにおふたりともエピックだ。
 1991年、ぼくがもっともよく聴いたアルバムは小川美潮の『4 to 3』だったのですが、洋さんはその前年に『柱』でメジャー・デビューを果たし、その年には2枚目の『凡骨の歌』が出てます。ぼくがHEATWAVEに出会うまでには、もうしばらくの時間が必要だったのですけどね。ちょっと前にも書きましたが、最近、洋さんの阿蘇でのライブ盤をよく聴きます。ここ最近の自分と絶妙にシンクロしているのか、ともかく歌詞がすうっと入ってくるのです。もちろん、選曲や弾き語りであることによる影響もあるのでしょうが、こんなことはこれまでありませんでした。

(宮地)