ジャマイカの伊達男はみんな長袖を着ている

ROCKERS STYLE 今日は、レゲエを題材にした映画『ロッカーズ』の写真集を出しました。2001年にリヴァイバル上映されたときに出た『ROCKERS STYLE』と、その3年後にでた完全版の2冊(値段などは本日の品出しで)。総360頁で映画の場面場面が蘇ってくる完全版も捨てがたいのですが、やっぱりおすすめはでっかい写真が大迫力の最初に出た大判の方(265×370mm)。ジャマイカの男たちの格好良さはたまらんです。ぼくも渋い色のセーターから原色の柄シャツの襟と袖をのぞかせて、フエルトの帽子でキメてみたい。絶望的に似合わなさそうだけど。

Jesus Dread [12 inch Analog] そんな訳で、気分はすっかりレゲエ・モード。店内には一日中ダンス・ホール並の大音量(脳内増幅)でベースの音が響きわたりました。こんなときぼくが聴きたくなるのはたいていヤビー・ユー(またの名をヴィヴィアン・ジャクソン)で、とりあえず手持ちのCDを一通り聴いていたら、あら閉店時間。楽しかったなあ。ちなみにかけたのは、全部Blood and Fireレーベルからの復刻盤(Steve Barrowの仕事。ジャマイカの音楽についてぼくの知っていることは、ほぼすべて彼と、山名昇さんと、藤川毅さんに教えていただきました)。


Rebel Rock Reggae 途中、学生の頃からの友人で近所に住むカナトミがたまたま遊びに来て「おっ、いいね」と反応してくれる。最近久方ぶりにダブにハマっているそうで「きのう本駒込図書館で借りたビム・シャーマンの『ミラクル』がよかった」という情報をもらい(すぐさま予約を入れ)、代わりという訳でもないけど、オーガスタス・パブロの『This is Augustus Pablo』と『Classic Rockers』を貸す。レゲエとは全然関係ないけど、今カナトミには山口洋さんの『made in Aso』を借りていて、これがまた素晴らしい。声に深みが増してます(とか簡単に言っちゃうのはおこがましいのだけど)。


 カナトミと入れ替わりに青秋部のふたりも所用があって来店。帰り際、石井くんとこんな会話を。

「そういえば健太郎さん、この前出たアレサの未発表ライブ限定7500枚、聴かれました?」
「知らないけど、ひょっとしてライノ・ホームメイドとか?」
「そうなんですよ。このまえ届いたんですけど、すごくいいでよ。今度お貸ししましょうか?」

 ライノのサイトは、理不尽に物欲を刺激され体に良くないので長いこと見てなかったのだけど、そんな物が出ていたのですか。いやはや。でも聴けるのは楽しみだなあ。代わりに、羽振りの良かった頃に入手したぼくの手持ちのライノ・ホームメイド、ティム・バックリータジ・マハールをお貸しする。石井くんがティム・バックリーにあんなにヴィヴィッドに反応したのはちょっと意外だったけど、同好の士が見つかりうれしい。


 さて、いよいよ話は脱線していくのですが、ティム・バックリーといえば、この前思わぬところでその息子、ジェフ・バックリーの曲を聴きました。どこかと言えば、新装なった大宮アルディージャのホームNACK5スタジアム大宮(旧大宮公園サッカー場)。12月1日、フロンターレとのシーズン最終戦の終了後行われたDF奥野誠一郎の引退セレモニーのなかで、彼の「ハレルヤ」が流れました。
 ずっとアルディージャを応援してきた者にとって、この日はいろんな意味で感慨深い一日だったのですが、MF斉藤雅人の劇的な同点ゴールの余韻さめやらぬなか、厳粛にスタジアムに鳴り響いたこの曲のことも、最後まで残ってくれた川崎サポーターの温かい対応とともに、いつまでも忘れないでしょう。
(もうひとつ付け加えれば、この晩、2chアルディージャ板で繰り広げられた、両チームのファンによる何とも言えないほのぼのとしたやり取りのことも。そのとき川崎サポの方がくださった?夕闇に沈むスタジアムの美しい写真を、今ぼくはスクリーンセーバーに使っています。ちなみに、ここにアップしたのは、ぼくが試合前に携帯で撮ったへなちょこ写真。あしからず)


Lovers Prayers とまあ、こんなふうに、一日が楽しく過ぎていきました。1万円札を出されるお客さんが多かった(=たくさん売れた、というわけではありませんよ)のが印象的。ボーナスってことですかねえ。どうせ音楽のことを書くのなら、きのうwindbellさんから届いたばかりのアイダの新譜『ラヴァーズ・プレイヤーズ』のことや、やはりまだ入荷して間もないエドガー・ジョーンズの『ザ・マスクド・マローダー』の素晴らしさ(「All The Things You Are」のカバーは必聴) について触れるべきなのですが、話の流れがそういう展開にならなかったのは残念。


 そうそう、すっかり忘れてましたけど、レゲエ関係はもう1冊出したのでした。1995年に出た「GRAND ROYAL」という(たぶん)アメリカの雑誌の第2集。24頁にわたるリー・ペリーの大特集で、年譜、インタビュー、主なアルバム紹介など盛りだくさん。もちろん全部英語ですが、字が異常に小さいため情報量は膨大(しかも役に立つ資料的な記事満載)で、ブラックアーク・スタジオの写真などグラビア頁の処理もセンス良く、ファンなら持っていて良い1冊だと思います。その分値段はちょっと高めにしましたが、そこはご勘弁を。


サッカー茶柱観測所 と、ここまで書いてアップしようと思っていたら、退屈男さん来店。たぶん初めてちゃんと野球の話をしました。退屈さんはファイターズびいきなので、楽しそうに今年を振り返るドラゴンズ・ファンの戯言など本当は聞きたくないに違いないのだけど、この前NEGIさんに教えてもらったブログ「中日ドラゴンズとサカつくとやきゅつくの輪」を無理矢理紹介したり(「ハゲハゲしい和田一浩」の回)、日ハムつながりでえのきどいちろうの『サッカー茶柱観測所』を熱烈推薦したり(すでにお持ちでしたけど)してしまう。退屈さん、お付き合いありがとうございました。

(宮地)