拾いものとか戴きもの



昨日の休み。
知人の個展に出掛けようと、自転車のペダルを踏み込んだ瞬間、眼の端にガラスのショーケースが。角の解体中の物件だ。
4年ほど前私たちが今の家に越して来た時すでに、下ろしたままのシャッターに長い歳月が感じられ、化粧品屋であったろう看板は色褪せ、ひしゃげていた。

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Twitter/野島康三/洞口依子/ 鎮西尚一

 今日は非番。丸一日時間が空くことはなかなかないので、早起きしていろいろ観てきました。

 どれも素晴らしく、認識を深めたり、愛を再確認したり、未知の作家に出会ったりと、楽しく有意義な時間でしたが、このラインナップ、じつはTwitterの影響がとても大きかったのです。以下そのことを。


 Twitterをはじめて1ヶ月余り、あっという間でした。こんなにハマるなんてまるで想像できませんでしたが、もうズブズブであります。この新しい「おもちゃ」のどこが優れているのかについては、始めて間もない頃にも一度書きました。ざっくりまとめると「仕事の合間に見つけた小ネタを紹介しやすい」「古本屋の実況中継ができるのでは」ということで、つまり「アウトプットするのにとても便利だ」と。その印象は今でも変わっていません。

 変わったのはインプットの方。当初はあまりたくさんの人の「つぶやき」が入ってきてもどうせ読めないし、と、フォローは知り合いやどうしても読みたい人に限っていました*1。そして、それでも十分楽しかった。なかでも同じ古本屋を生業とするみなさんの日常を知るのは、とても刺激になりました。それがある時期から、面識のない人も少しずつフォローするようになっていきます。きっかけはこの「つぶやき」

 買い取りで入ってきた杉田敦『白い街へ』(彩流社)のことに触れたら、未知の方が二人、すぐにリアクションをくれて、それでなんか目から鱗が落ちたんですよね。それからは面識のあるなしにはこだわらずに、自分の好きなことを自分よりも知っている人、守備範囲は違うけど肌の合いそうな人、同じチームを応援する人、生活圏が近い人などもフォローしはじめたのです。


 今日観たものも、そんななかで知りました。まあ洞口依子については自分でも大プッシュしていたわけですが、野島康三と鎮西尚一については、つい3日前まではそんなつもりまったくありませんでした。でも、毎日その「つぶやき」に接し勝手に親近感を持っている人たちが、「ここぞ」と気合いを入れて推しているのを読んで、足を運んだのです。


 野島康三の写真展に行くのは今回がはじめてだったのですが、確かに本になったものではこの美しさは伝わらないと思います。写真の技術についてはまったく疎いのですが、ゴム印画、ブロムオイル・プリントの魅力について認識しました。もっともインパクトがあったのはトリミングされた細川ちか子の肖像。成瀬巳喜男の作品でしか知らなかった女優さんですが、大いに印象が変わりました。
 松濤美術館で今週の日曜日(15日)まで。天皇陛下御在位二十年だとかで、入場は無料です。


 そして鎮西尚一。今日を逃したらたぶん一生観ないままだったでしょう。名のみ知る監督の12年ぶりの新作。きちんきちんと挿入されるカラミのシーンがかろうじてピンク映画だということを思い起こさせますが、淡々と流れる物語のなかに美しい映像が溢れかえる傑作でした。「ピンクにしては傑作」ではなくて、ただただ「傑作」。宇波拓の音楽がまた絶品で、映画館を出てからずっと口笛吹いてました*2
 浅草世界館にて17日まで。19時からの回なら800円で観られます。紹介してくれたモルモット吉田さんのブログもぜひ。

 あと、これは余談ですが、ほとんど前知識なしで出かけていったこの作品、なんと旧名葉月蛍さんが出演されてました。水族館劇場を辞められて以来まったくお会いしてないのですが、思わぬ再会。劇中、彼女が恋人と暮らす家に雰囲気があり、とくに屋根の上で幸せそうに寝転ぶ男の横に、窓越しにほたるさんが豚の蚊取り線香を置く場面は素晴らしかったです。


 長くなってしまったので、洞口依子についてはいつかまた。見終わったあと「どうして宮崎あおいに惹かれるのかがわかった」と思いながらロビーに出ると、宮崎あおいからの大きな花束が飾ってありました*3。『君は裸足の神を見たか』の上映はもうありませんが、映画祭自体は20日まで開催中です。

(宮地)

*1:どうしても読みたい人の筆頭は、長い間そのブログを愛読しているトライさんのものでした。メールのやりとりのみで直接の面識はない方なのですが、前にも一度日々録で紹介させてもらってます

*2:この人がいましろたかしのファンであることを最近知って、うれしくなりました。詳しくは、こちらこちらを。

*3:矢作俊彦からのものも当然のようにありました。

洗濯とボラ・デ・ニエベ

 非番なので朝から洗濯したり、掃除したり。
 掃除は苦手ですが、洗濯は好きです。楽しそうにやってるからでしょうか、玄関前の路地で脱水されたもののシワを伸ばしていると、いつも近所のおばちゃんに「ほんと洗濯好きねえ」と声をかけられます。実際は、いまどき洗濯機が屋外にあるのが珍しく、目立つから、ということなんでしょうけど。ともあれ、この季節は2時間ほどですぐ乾くので、冬場のように干せる量から逆算して洗濯機に入れるものを決めなくていいので、楽です。
 掃除の方の最大の収穫は、AirMac Express導入以降も以前のままになっていた居間のごちゃごちゃした配線をきれいに整理できたこと。押し入れの枠にそって這わせていた電話線がなくなってすっきりしました。


 夕方、涼しくなってから店へ。昨日すっかり忘れていた預かりの計算をして、あと、ここしばらく中古CDを出していなかったので、20枚ほど放出。こんなラインナップです。

友部正人、ボラ・デ・ニエベ、スティーヴィー・ワンダーナット・キング・コールアーチー・シェップ山之口貘、コンポステラ、アイズレー・ブラザーズ、ヤエル・ナイム、ザ・ラカンターズオシリペンペンズトム・ウェイツドナルド・フェイゲン、リズ・フィールズ、スカーレット・ヨハンソン


 アーチー・シェップのBYG盤とか、高田渡監修ふちがみとふなと参加の山之口貘トリビュートなど、名盤目白押しですが、これを読んでくださっているみなさんにぜひ紹介したいのが、キューバの偉大にして洒脱なエンターテイナー、ボラ・デ・ニエベ。「キューバの音楽家」と聞いて多くの人が想像するのとはまったく違ったタイプのミュージシャンですが、その唄とピアノは本当に素晴らしいです。

(宮地)

アド街

久しぶりに宮地とふたりで連休。天気予報は2日とも晴れ。季節もばっちり。

何をするかと云えば、もちろん、玄関扉のニス塗り。

それを連休前の深夜、宮地に申し渡す。
青天の霹靂、顔に一瞬陰が差した気がするが、たぶん梅雨入り前に出来るのは今しかないので気付かなかったことにして強行。

1日目にヤスリかけ、水洗い、乾燥。
2日目に本塗り。

袋小路の路地の住人たちが、行き交うごとに声をかけてくれる。はじめて挨拶する方もいた。
ふだんは生活時間がずれているから、滅多にご近所の方とお目にかかることはない。
あちらからしたら謎だろう。働いてはいるらしいけど、お勤めじゃなさそうな夫婦もんが、姿現したと思ったら、嬉々として玄関の扉外してニス塗ってるって。しかも借家で。
数少ない顔見知りのお向かいのおじいちゃんが、宮地にスラックスをくれた。きっとご褒美だ。

1日目は、明るいうちのほどよい時間に終わったので、シャワーで粉塵を落とし王子の山田屋酒場へ急行。みんなが楽しそうに飲んでる感じが『たそがれ酒場』みたいでとても気に入っている。こんな日にはうってつけ。
2日目は家でごはんを食べながら、やっとアド街のDVDを観る。知らないお店や情報もけっこうあったけど、ちょっと100円バスにこだわりすぎたのか、え、そっちのバス停かよ、とか、電車の方が近いじゃん、というところも少なからずあったような。遠方よりお越しくださる方は、今一度地図をご覧になった方が・・・、て、もう遅いか。
宮地のテレビ映りは、あー(やや低いトーン)、って感じでした。期待してたわけでもないけどね。
これでやっと胸のつかえがとれました。お持ちくださったUさん、ありがとうございました! 

(ミカコ)

4月の備忘録

 先日通勤路に鯉のぼりを発見。え、なんで?と思ったら、もう4月が終わるのでした。
 一箱の準備をしていて、頭の中ではもうすぐ5月の一箱古本市とわかっているのですが、どうも昨年末あたりから身体と気持ちがまったく暦についていけなくなっています。そういえば、桜も咲いていましたね。

 そう、桜が咲いている時期にたぶん生まれて初めて上野のお山に行きました。お花見の喧噪を遠目に、見仏記一門の友人に誘われ、阿修羅展に行ったのでした。仏像道真っ暗なわたしの為に、友人が資料をスキャンしファイリングし持ってきてくれたお陰で、にわか阿修羅ファンになりすまし、暮れなずむ東京国立博物館、ファン特別鑑賞会に紛れ込むことに成功。(特別鑑賞会は終了しています。)
 正直全体的に演出過剰な感じは否めませんでしたが、阿修羅像の背後にまわった時、友人とふたり思わず息をのみ「すごいね・・・」とほぼ同時に声を出していました。
 これは自分では行かなかったかもしれないので、誘ってくれた友人に感謝。http://www.asahi.com/ashura/
 見終わって表に出ると、裾に満開の枝垂れ桜を纏った国立博物館の真上には、満月が浮かんでいました。

 この日は昼間青山スパイラルの五月女寛陶展「〜はるいろ〜」にも出掛けたのでした。ネットで一目惚れし恋い焦がれていた作品に触れてきました。決して手が出せないようなお値段ではないのですが、じっくり目に焼き付けて、手にして重みをおぼえて。いつかきっとうちにも飾ろう、と。http://kuushin.cocolog-nifty.com/blog/
 帰りがけ、お向かいのオヨちゃんに挨拶。https://www.oyoyoshorin.jp/


 そして近いところでは、武藤良子さんの展示「耳朶とスプーン」。
 案内にあった緑道に入ると直ぐ、噴水の前のちょっとだけ開けたスペースに、3畳分くらいの段ボールを敷いて、その上にふつうに布団を敷いて掛け布団を掛けておじさんが寝ていました。すんごく冷え込んだ日だったので、布団をちゃんと首元までかけていても寒いんじゃないかなと思ったけれど、自分も薄着で鼻水が垂れそうだったのでそのまま通り過ぎてしまいました。
 平日の半端な時間だったせいかマルプギャラリーには誰もいなくて、知らない人の家に忍び込んだようでちょっとハラハラしながら、展示を見ました。武藤さんが黒く塗りつぶしている姿を勝手に思い浮かべながら。真っ黒に塗りつぶした画面に、切抜いたみたいな線で描かれているスプーンや、金魚がとても印象に残りました。もっともっとたくさん作品をみたいなぁと思いました。http://www.toshima.ne.jp/~mryoko/


 日曜日には閉店後、六本木ミッドタウンへ急行。ほおずき市でお世話になっているTさんに誘っていただき、『Connected:コネクテッド/小坂忠』の発売記念ライブ。ゲストは細野晴臣尾崎亜美。忠さんが「ほうろう」と歌う度に、ひとりで小さい返事を試みました。
 楽しい夜でした。どうもありがとうございました。http://www.chu-kosaka.com/

 4月の非番備忘録でした。
 もうすぐ朝ですが、遠くで夜の虫が啼いています。子どもの頃、どこか田舎で嗅いだ露に濡れた草の匂いがした気がしました。
(ミカコ)

上野動物園のペルシャ絨毯

さて、これはなんでしょう?

答えはカピバラ。和名は鬼天竺鼠(オニテンジクネズミ)、の後姿。顔を見たかったのですが、一時間で20センチくらい、とっても面倒くさそうに歩いただけでした。


 桜がまだ蕾のころに上野動物園に行ってきました。
 ウン十年ぶり!の動物園、実はお目当てのイベントがありました。
「東京・春・音楽祭」http://www.tokyo-harusai.com/の参加イベント、「子どものための絵本と音楽の会」という催しです。『ババイの庭』〜ペルシャじゅうたんとアラベスク〜。
 構成とお話を担当しているのが、音の台所http://homepage3.nifty.com/oto-kitchen/の茂木淳子さん。
 子どものためのイベントなので、ほんとうは大人だけでは入れないところをお願いして入れてもらいました。
 この日のために選ばれた絵本が、イラン系フランス人マンダナ・サダトの『ババイの庭』。(この本はまだ日本では出版されていません。原題:Mandana Sadat*1『Le jardin de Babai』Grandir,France*2 右の写真はイタリア語版です。)
 右から読むとフランス語で、左から読むとペルシャ語。(逆だったかな?)お話の内容も違ってきます。

「ババイ」は、イランの砂漠にひとりぼっちですむ羊です。ペルシャ語の羊の啼き方からついた名前。日本だとメーちゃんかな。

 正面の大きなスクリーンに一頁一頁映し出され、茂木さんが日本語に訳したものを朗読します。
 フランス語の物語を一回朗読したところで、ハープの登場。ハープの弦には羊の腸も使ってあるのだそうです。演奏するのは「アラベスク」。「アラビア風の」という意味があるそうです。斎藤葉さんのハープの演奏とともに、もう一度朗読。ババイの作った庭にいろいろな動物たちが遊びにきます。音楽が奏でられ、絵の動物たちがほんとうに走っているみたいです。
 次はペルシャ語で朗読。そしてハープはアッセルマン作曲の『泉』。灼熱の砂漠で水を使って植物を育てる「庭」はまさに「楽園」です。
「ババイの庭」は羊の毛を織ってつくるペルシャ絨毯そのままのとっても美しい彩色の絵本でした。ペルシャ絨毯は「楽園」のイメージを織り込んだものなのですね。これからペルシャ絨毯を見る度にババイのことを思い出します。
 
 気持ちのこもったとても素敵な会でした。茂木さんどうもありがとうございました。



(ミカコ)

*1:http://mandana.microburo.com/マンダナ・サダトさんのHP、他の絵本もとても美しい!

*2:http://mandana.microburo.com/2009/03/20/le-jardin-de-babai/ババイも写真がたくさんありました。

加藤千晶「アップップリケショー2」

 アップテンポな千晶さんが好きなのでめいっぱい楽しんだ。
 けれど実は前からうすうす気付いてはいたんだけど、口外したことがなかったことを、改めて実感したのだった。

 それは千晶さんのライブって、男たちのリズムとって聴いてるノリが異常にかわいいってこと。

 お客さんが特に男ばっかりというわけじゃなく、割合は若干男性が多いくらいだろうか。年齢層は、30、40が最多で50代ちらほらか。

 なんていうか、言葉ではうまく云えなく、女の私もとーっても楽しんでるのだけど、彼らは何か違う波をキャッチしている気がしてならないのだ。私だって、頭ん中はかーなーりー、おっさんよりだと自信あるが、その波はたぶん届いてないと思われ。

 悔しいので、気付かないふりをしてたんだが。

(ミカコ)